独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
【桐子からお見合いの話は聞いたかい? なによりも大切なのは琴子の気持ちだよ。もちろん業務提携の話は大変ありがたいが、私の会社のことは気にしなくていいからね】

桐子とは母のことだ。伯父は業務提携の話に歓喜していたと母は言っていたけれど、むしろ私を案じているようだった。

私の気持ちは家族のためになりたい、伯父の会社の経営を軌道に乗せたい、それだけだ。

中学の頃、透哉さんに儚い恋をした経験しかなく、私は恋愛とは無縁だった。

でも私のお見合いの相手はその彼で、本当に母が言った通りこれ以上ないほどの理想の相手だ。

【ありがとう、伯父さま。でも心配ご無用です。私はお見合いを本当に楽しみにしているの。これもご縁だから、うまくいくように願っています】

私は伯父に明るくメールを返す。

早く透哉さんに会いたかった。

再会すればきっとまた彼を好きになる。そんな予感がしていた。


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