鬼畜執事のキング
家に着くと、お風呂にお湯をためて、ゆっくり浸かった。
「はぁ・・」
ため息が出る。
なんかこの頃、ため息ばかり・・
ぴちゃん。
顔を湯船の中へ半分鎮める。
・・お金も払ったし
もう負い目なくアソコへ行かなくてすむ・・。
ホントは他のイケメン様たちにお会いしたいけど、
空がいるんじゃ・・
はぁ・・あ、またため息ついちゃった。

空・・一体どういうつもりなんだろ?
あれだけ、イケメンでモテモテだったら、私なんかにかまけてないで、
空の事をちゃんと好きな女の子んコト、構えばいいのに。
モテる奴の考えてる事はイマイチ、良くわかんない!

お風呂からあがると、自分の部屋へ行き、ベッドへゴロンとした。
ウトウトとしかけた頃、
突然、スマホが鳴り響く。
「わ!」驚いて、体を起すと、
速攻、カバンの中から、鳴ってるスマホをとりだした。
少し寝ぼけてたせいか、相手も確認しないまま携帯に出てしまいっ、
「も・・」そう言い掛けたトコで、
「外見ろ!!」 「わっ!」
いきなり、そう怒鳴り声が聞こえた!
~~~~??????
えぇ・・っと、今の声って・・・どこかで聞いた事あるよーな・・
そう思いながら、窓から顔を覗かせると、

「・・・・・・・」
え・・・・?

まったく、この住宅街に、
まったく不釣合いな人物が立ってる。

金色の髪・・
その髪の間から覗かせる・・

あの鬼の目っ!!!~~~~~~~~~~~~~~!!!
思わず窓を開け、「なっ、なにしてるのっ!つか、なんで私んちっ」と叫んですぐに学生証を見られていたという事に気づく。
パッ!と口を押さえると、スマホを閉じ、すぐに玄関へと走る!
バンと扉を開けると、
すぐ目の前に・・
あの、空が立っていた。

「そ・・ら・・なにしに・・」 そう発した時、
空の指が・・私の髪に触れる 「髪・・濡れてる。」
ドキン// 「え///?」 
あ!//か、髪乾かしてないや・・っ!じゃなくて!
「わっ!スッピンじゃん//!!」
バッと両手で顔を隠した!
ひゃぁぁぁぁ!!!見られた~~~~~~~~~~~~~

「ふ・・その方が可愛いのに。」
「・・え?」 今、なんて言った?
ガサッ
「ん?」 頭の上になんか置かれたし。
でも、手外すと、顔みられちゃうし。
そんなんで、その格好のまま動けずにいる私。
すると、空は
「じゃあな♪」と言い、帰っていってしまう。

???
一体、何しに来たんだろ?
ゆっくりと、頭の上に手をやる。
と!!
「は??!!なんで??」
置いてきたハズの現金入り封筒が乗っかってた!!
中身もしっかり、間違いなく入れたまんまの金額がそっくりそのまま入ってるし~~!!

ど、ど~ゆうコト!!
もしかして!本人じゃなきゃ、受け取ってもらえないってコト??
だったら、最初に部屋なんて行かないで、受付させろよ!!ばか空~~~~

すぐに空へ電話をかけなおす。

「あ?」 そんな声で電話をとられた。
マジ、失礼な奴!いやいや、今はソコに突っ込んでる場合じゃない
「空!コレって、本人が払いに行けってこと?」そう捲し立てた。
「・・お前って
  ・・・・バカだろ。」
「は???!!」 おい?!なんなんですか?今の言葉はぁ??
「なん回も同じコト言わせんな!ばーか!」
「だっ!」 またバカ言ったっ!!

くぅ~~~~
「ひ、100歩譲って、私がバカだとして!(くっそ~~!)
 このお金のイミがわからないので、教えてください。」
私は、それはそれは低姿勢にそう言った。
大人になってやった!!
それなのに、それなのに、
「100歩譲らなくてもいいだろ別に。まんまばかだし。」
そこ?そこに重点をおくワケ??
その後の言葉の答えが聞きたいですけどっ私っ?!!
「あ~じゃ、ばかにもわかるように教えてやんよ。」
ちっ、さっさとそう言えばいいものをっ!しかも、またまたバカ言いやがって(ムカ)
「はいお願いします。」 沸騰してる怒りを抑え、そう答えると、

「お前は客じゃねぇっつたろ?」
「・・・は?」
「だから、金なんかいらねぇんだよ。」
「・・・・」 あ・・の・・ぉ・・おっしゃってるコトが?なんですけど??
  
「お前の体さえあればさ♪」 
空は、そう付け加えた!
「は??!!///」
「ソコ反応すんのか(笑)スケベ♪」
「なっ//!!ちがっ///」
「じゃ、また明日な♪」
「えっ?!」
プチッ。
「えっ?!」
あ??なに勝手に電話切っちゃってくれてるわけ!!!
疑問符残したままの私はどうなるんですかぁ??
私の返事は?私の意見は??
みんな、スルー決定ですかぁぁぁ???
しかも!
「なによ、明日って??」
明日なんて、絶対絶対絶~~~~~~対!あのお店には行かないんだからぁぁぁ!!!
き~~~~~~~~~~~!!!スケベはどっちだっつーの!!エロ空ぁっ!!


もう行かない!そう決めた私は、
次の日学校へ行くと、りかちゃんの席へ直行した。
「りかちゃん!」
「ん?おは美未香♪どしたの?」
興奮状態の私を見て、そう言ったのだろう。
「私、もうあの店に行かない!」
「え?また空となにかあったの」 勘もいい。
いや、私がわかりやすいだけなのかも知れないがっ!
「ありすぎっ!ありすぎて、もう言いつくせないくらい!!」
「はぁ」
「せっかく、りかちゃんに付き合ってもらっておいて、今更こんなコト言ってごめんねっ!!」
そう言って頭を下げると、
「私のことは気にしないでいいよ~♪・・それより、ホントにいいの?」
「うっ」 りかちゃんは優しっ!
「ホント~~~にいいの!」
「そう・・あ!ねぇそれはそうと、今日って美未香、日直じゃないの?」
「え?」 黒板に目をやると、日直・鈴木と書いてある。
「げ!最悪!」
「日誌取りにいっておいでよ。一緒に行こうか?」
「ううん、1人で大丈夫♪ありがとりかちゃん♪じゃ、行ってくるね~」
私はそう言うと、急いで教室を出て、教務室へ向った。

廊下を早足で進んでいくと、
「鈴木さん」と、呼び止められた。
「?」振り向くと、相馬くんがポツンと立っている。

「なぁに?」 昨日といい今日といい、なんか相馬くんと縁あるなぁ・・

「今日の日直、僕とだから。日誌はもう取ってきたよ。」そう言って、手に持っていた日誌を少し上へと上げた。
「え?あ、相馬くんとなんだ・・あ・・りがと。」
自分の名前しか見てなかったよ。まぁ、相馬くんの名前があってもスルーしてたと思うけど(笑)
日誌を脇に抱えて、相馬くんは教室へと戻って行く。
私も、その後をついていった。
横にはさすがに並べない!
頭の良い例(相馬くん)と悪い例(私)のわかりやすい見本となってしまう///
それに・・
はっきり言って、私の好みじゃない。
髪は黒くて、サラサラ・・(どっちかってーと染め入ったツンツンワックスで整えられた髪が好き。)
制服だって一つも乱れがないし・・(改造しまくってオシャレに着こなしてくれてる方が好き)
眼鏡・・(いかにも頭良さそうで嫌味。カラコン入れててほしい)
目つきも口調も優しすぎだし・・・って
アレ?
なんか、私変なコト言ってない?
今の全部当てはめると、ある人物に行き当たっていく気が・・
ブンブン
思いっきり首を振る!
違う違う!私の好きなタイプは優しくて紳士じゃん!
相馬くん優しいし紳士じゃん!あんな奴より全然っ
っ!う、誰?今、私、誰のこと言おうとした???
はぁぁぁっぁ・・~~~~~っ
なんか、気分がちょ~~~~~~~~~ブルー!!!
それ以上を考えないよーにして教室へ急いだ。
 

放課後、教室に残り、日誌を書いていると、
ガラッ
と戸が開き相馬くんが入ってきた。
「先生には報告しておいたよ。日誌書き終わった?」
私が日誌を書いている間、相馬くんは掃除・戸締りの確認をしたと報告に行ってくれていた。
「ん・・後少し。」
こーゆーの面倒っ、なにを書いていいのか毎回悩む。
「前のやつを参考に書けば?・・・・
・・・どんくせぇ」
あ、そっか!そうだよ・・・ねっ・・
「え?」 ・・・いま、・・最後なんてった?

「相馬・・くん?いま・・」
日誌から、ゆっくり顔をあげ、相馬くんを見る。
「わっ!!」
顔をあげた瞬間、すぐ近くに相馬くんの顔があって驚いた!!
「・・え?眼鏡・・」
いつもの眼鏡が外されてる。

でも・・それ以上に・・驚いたのは
・・・・その目

その目に、私は見覚えがあった・・ありすぎるくらいあった
その瞳・・・っ

「そ・ら?」
「うん♪」

なっ

「・ん・・・・でぇぇぇぇぇぇぇぇえぇ???!!!
はっ??はぁ??なんで?なんで相馬くんが空なの?
空が相馬くんと入れ替わったの?いつ???」
わけのわかんない事を叫んでいた。

「フガッ」 そんな私の口を空の手が塞ぐ。

「美未香、ちょ~ウケル♪ははっ」
「モゴッモゴッ!!」
「くはっ♪全然気付かないんだもん♪相馬が俺だってこと♪」
「!!!!フガッ」
「いやぁ~楽しませてもらったよ♪おかげで、美未香の変顔リアクション見られたし♪くくっ」
バッ!なんとか、その手を強引に引き離すと、
「い、いつから??いつから相馬くんと入れ替わったのよ?」
と、まだ理解できていない私。
「ホントば~か!、さっきから言ってんだろ、相馬は俺なの。最初っから!」
「!!!」
は・・ぁぁぁぁっぁぁぁああああ??????
「ははっ♪まぁ、美未香だけじゃないけどねわかんないの♪この学校で俺の事、知ってる奴なんかいねーし。」
そう言って笑い続ける相馬くん、もとい、空っ。

「なんで?!そんな事してなんかイミあんの?え?大体、髪はどうしてんの?(ソコか?突っ込むとこ?)」
「あー・・だって、空のまんまで学校に来ると色々大変なんだよね。女の子散らすのとか」
あ。あぁ確かに・・て!自慢かよ!
「あと、髪は・・」
そう言ってなにやら頭に手をやる空。
パサッ・・
「--!!!!」
黒い髪が一気に外れて、中から、あの見慣れた金色の髪が現れた!!
「はっ!!!え??」
パニくる私に、
「ヴィッグだよ♪相馬になる度、染め直してらんねーだろ?
それに俺、成績いーから、制服。頭髪検査は一切フリーパスなんだよね♪だからぜってーバレね♪」
うっ!確かに!確かに相馬くんはこの学校一頭いいよ!でも、ソレは相馬くんであって!空じゃないでしょー
え?相馬くんは空だったんだから、空も頭いいのかっ??!!
ああっ!!わかんな~~~~~~~~~~っ!!ややこし~~~~~~~~~っ!!

「おい、ちゃんと、理解できたか?」
その相馬・・空の問いに、
首を傾げ、「ん~~~~~~~~と・・」と答えると
「は・・ホントばか。」 と言われた。
はいはい。いいですよ。バカで結構ですよ。
確かに相馬く・・空からしたら、私なんて、ちょ~おばかですから

私はもうなにがなんだかわかんなくっていた。
ええと、
空は、相馬くんでしょ?
高校に入る時に偽名は使えないから、相馬は・・本名てコトだよね。
じゃぁ・・名前が空?
「・・相馬・・くんの下の名前って空って言うの?」
今更、失礼だけど、そんな事を聞いてみた。
ムッ!
あ・・今、あきらかに不機嫌な顔した!
「ちげーよ!、んな源氏名バリバリわかる名前なわけねぇだろ!」
「う・・」 やっぱ、機嫌悪くなってる・・
でも、
「じゃ、なんて言うの?」 あきらめず私がそう聞くと、
「は?」
「だって、空だって私の名前知らなかったじゃん」
「はぁ?」
「学生証見なきゃ、私の名前とかわかんなかったでしょ?まぁ・・顔と苗字ぐらいは同じクラスだから多少・・わかってただろうけど・・」
「・・・・
   ああ。」
ん? 
「とにかく!おあいこでしょ?下の名前教えて!」
そう詰め寄る。
すると、
「顔か・・・さすがに、すっぴんは見たことなかったけどね♪」
「!!///」おもわず両手で顔を覆う私っ!
「なんで、すっぴんで来ねーの?」
「// そ、っ!!」
女の子にソレ聞く~~~??
ハッ!
「ちょっ、話、変えないでよね!!今は名前の事聞いてたでしょ?」そうよ!
あやうく誤魔化されるトコだったよっ!!
「ちっ、」
えっ?なにいまの舌うちは!!
やっぱり、空、ワザと話題かえたなぁぁ
「で?!」
「は?」
「だから~~~~~~~~」
また振り出しからかよ~~~~~っ!!こいつ絶対にふざけてる!
「らいき」
「へ?」
「相馬来紀」
「ら・・いき?」
「そ、来るに紀元前の紀。で、らいき」
「・・はぁ・・」
らいきね・・相馬来き・・んー・・きげんぜんのきってどう書くんだっけ?
まぁいいや。
「ついでに言うなら、相馬の「そ」と来紀の「ら」で、」
あ!
「そら」「そら」
2人の声がリンクした!
「////」~~~~なんか、ハズかしっ
「ふ・・わかった?」
「う、うん///」

まぁ・・とりあえず・・空の名前の由来(?)はわかったけど・・

「しかし、昨日の美未香のダッシュには参った。」
え?
「・・ああ・・そっか。同じ教室にいるから、わかるもんね。私の行動・・」
私より先にお店に着くことなんて、いくらでも可能だよね。・・納得。
「いつもはどんくせぇのに、歩くのだけはちょ~早えーし!おかげで、着替え間に合わなかったんだかんな!」
「あ!」
だから、あの時、袖口留めてたんだ!
「ふっ♪」  可愛いトコあるじゃん

「今の付けとくかんな。」
「え?」
「今の俺への蔑みの微笑だよ。後から、何十倍にもして返してもらっから♪」

「えっ・・」・・っとぉ・・
サーーーーーーーーーッ・・
なんか・・急に不安になってきた。
あの・・
もしかして、こーゆーイジメ(?)はこれから毎日のごとく続くんでしょうか?
だ・・よね?だって
つまり、その相馬来(き←変換前)の空とは、ずーーーーっと、毎日、教室で会うんだもんね?
お・・お店に行かないとか以前の問題だよねコレって?

点・点・点
えっと、ソレってつまりぃ・・・
私の計画は最初っから、まるっきり意味なかったってことですかぁ・・っ
そ・・んなっ・・

「ん?美未香?」

「・・どうせ・・・空は、
 ずっとそんな私を見て、バカにしてたんだよね。」
悔しくてボソッとそう呟く。
その瞬間、
グイッ! と腕を捕まれた!
「いっ!」
その力は弱まらない。
恐々、空の方を見ると、 「ひっ!!!」
あのちょ~~~~~~~~~おっかない目をした空の顔っ!!
うわぁ!!絶対に殺されるっ!!
えっ?!私なんか殺されるようなコトしたっけ???え~~~???

「だったら、わざわざ正体明かすかよ!」
「!」
空はそれだけ言うと、私の腕を乱暴に離すと、黒髪のヴィッグを付けなおし教室から出ていってしまった。

なに・・??なんで・・怒って・・
怒りたいのは私の方だよ?

空が出て行った後、力が抜け、床にペタンと座りこんでしまった。

腕にまだ、さっき捕まれた時の痛みが残っている。


空のこと・・・
よくわかんないよ。

「がっこ・・行きたくない」

次の朝、
そうベッドの上でグダグダしてると、
「美未香―!お友達が迎えにきたわよー」とママの声がする。
友達?
誰?りかちゃんかな?んー・・でも、りかちゃんはいつも車で登校してるし・・
「支度まだだから、先に行ってもらってー」
そうママに伝えてもらうと、
ノソッっと体を起し、制服に手をかけた。
「はぁ・・やっぱ、行かなきゃダメかな・・」
「ダメだろ」
「そう・・」 へ??
バッ!!
「わぁっ!!」  そこに、相馬くんがっ、いや相馬くんに化けた空がっ立ってんじゃん!えっ??
「なに勝手に家に上がってんの?マ・・ママは・・」
「ふ・・お前のママは俺の事良~く知ってて♪「学校一の秀才がウチにきてくれるなんて感激~♪あがって待ってて~♪」とか言って、仕事へ行ったぜ?(笑)」
は!はぁっぁぁぁぁ????!!!マッ、ママ!それはあまりにも無責任じゃございません??かりにも、私達、思春期のまっさかりの男女ですよっ???!!

「アブねえな。」
「は?」
「そのカッコ」
「え・・」 
自分の格好を改めて見る。
「げっ!////」 キャミとスエットパンツ!!
下はいいとして!上はキャミ1枚だった~~~!!!!
バッと胸元を両腕で隠し、空に背をむける。
「あ、あのねっ!!一応、お、女の子の部屋なんだから!!///そ、その勝手に入ってこな・・!!」ひゃぁぁあ///またも、私の見られたくないものを見られた~~~~っ!!
そんな時、
空のポケットから、着音が鳴った。
「ちっ。」 
舌打ちをして、空はポケットからスマホを取り出して電話に出る。

『どうかした?』

「?!」は?・・・なに今の声!!口調!!

『ああ・・そうか、うん・・』
えっ・・???そ、空っ??マジで空のしゃべりなんですかぁぁぁ??!!

『じゃぁね』

空は、そのセリフを最後に電話を切ると、
はぁとため息をついた。

「ん?」
今の会話に固まりつつある私に気付き、
「あに、やってんだ?さっさと着替えろ。」
と???!!
「は?なになに??今の電話の人と私に対する言葉使いが、まるっきり!180度!違うんですけどっ?!これって気のせいでしょーか??」
あきらかに差別~~~~~~~!!

「・・客だから。」
「え?」  あ・・

ん?でも・・
「指名・・取らないんじゃなかったっけ・・?」
たしか、りかちゃんそんな事言ってた。

「!・・この・・今の電話の人は昔っからの付き合いだから。
指名とか・・そんなんじゃ・・」

「え・・?」
客なのに・・指名じゃない??
ソレってどうゆう・・

あ・・
「・・本カノなんだ。」
「!!?」 そうですと言わんばかりの表情をする空。
~~~~~~~~
なんかなんかなんかなんかっ!!

「出てって!!!」

私は思いっきり、空の腕を引っ張ると、そのまま部屋から追い出した。
信じられないほどの力が出た。
これがいわゆる、火事場のバカ力というものだろうか?
ううん、そんな事、どうだっていい
とにかく、今は・・
そんな空の顔っ・・見たくない!!
バン!戸を閉じると、その戸にもたれかかる・・。

空・・めずらしく無抵抗だった。戸を無理やり開けてこようともしない・・
その時、
コン。 1回のノック音。
「――!」

「・・学校には来いよ。」

それだけ、言うと、空は戸から離れ、家から出て行ってしまう・・
窓から見える。空の後ろ姿。
振り向きもしない。
さっきの私が言った事が、
図星だったから?

てか・・なんで、こんなにイライラしてんの私っ?!
空に本カノ居たって別に気にすることないじゃん!
いやいや、むしろ、あんな外見で彼女居ないって方がおかしいって!

・・・・・・

あんな鬼畜・・!俺様・・!
ドドドSの多重人格者なんてっ・・
う・・っ・・
な、なに・・???
え?もしかして、私・・あの鬼畜の事、気になってる??
ウ・・ウソウソッ!!!そんなコト、
絶対絶対!リアにガチに
あ・り・え・な・い・からっ!!!!

私は、ゆっくり制服に着替えると、重い足を引きずり学校へと向う。はぁ~・・マジ行きたくないっ・・
教室に入ると、1時間目はもう終わってて、休憩時間になってた。
・・空・・じゃなくて相馬くんは・・
教室をさりげなく見渡すと、
「?」 アレ?見当たらない・・
トイレにでも行ってんのかな?

それから2時間目が始まっても、空は教室には現れなかった。
なんか気になって・・
次の休憩の時にりかちゃんに聞いてみると、
「え?相馬?あぁ・・来た早々、体調悪いとかで帰ったよ?何?美未香って、あーゆーの趣味なの~♪」
二ヤッと笑ってそう言う。
う!今の顔はお嬢らしくないよ、り、りかちゃん!
「そんなんじゃないよ~やだな、昨日の日誌の事でちょっとね♪」
そう誤魔化して、自分の席へ戻った。

体調・・悪そうだったっけ?
全然元気だったよ?ね?
ん~・・あ!もしかして、私の言葉に傷ついて立ち直れなくなってるんじゃ・・
ぷぷっ♪あ、つい笑っちゃった。ソレはないない!
私の言葉なんていつっもスルーされてるし、あんな自己中男がそんな事で体調悪くするワケがない!

あと、考えられるのはぁ・・・
「!!」
ス、スゴいコト思い浮かべちゃった・・っ
う・・でも、その可能性って・・大だよね。

【本カノのトコ】

その言葉が頭をグルグル駆け巡る。
うわ~~~~~~~~~~~~っなんなのよぉ!!コレっ!!


はぁはぁ・・なんなの私っ!
つーか、何よ!空の奴!私には、学校に来いって言っておいて、自分は、彼女とデートへ行きましたってか??!!
ふざけてる!!絶対にふざけてる!!あいつっ!!
電話かけて怒鳴ってやろ! 彼女とラブラブズッキュン中でも構うもんかっ!!
そうよ!それくらいしたっていいよねっ!!ふん


授業が終わると、すぐに私はスマホを持って、教室を出た。
人気のないトコロ・・人気のないトコロ・・
あ!ココ!!
3階にある図書室に辿り着くと、中へ入る。
少ない休憩時間に図書室へ来る奴はまずいないもんね~。
よし!!思ったとおり!!
ここなら、気兼ねなく、大声で、空のこと罵倒できる!!ふふふ♪
スチャッ。
スマホを開いて、空のアドレスを探し、いざ、かけようとして、指が止まる。
ドキドキドキドキドキドキドキドキ
ちょ、なんで、こんなに緊張してんの私っ!!
これから、空にケンカふっかけるんでしょ!あ、違う違う!!
罵倒して、今度からは立場逆~~転!『お嬢様』『執事』ってカンジにするんでしょ?!
なに、先にビビッてんのぉ!!??
くそ~~~負けるもんかぁぁ~~~
ピッ!
根性と勢いで、ボタンを押した!
~~~~♪~~~~~♪~~~~~~~♪
・・・出ない・・
~~~~♪~~~♪~~~~~♪
・・ありゃ?マジで、彼女とにゃんにゃん中ですかぁぁ???
~~♪ ピッ。
「あ!」 出た!!
「・・・・・」 ~~~???でも・・何も言わない・・
え?番号間違えてない・・よね?
「あの・・空?」
「・・・」
やっぱり、何も答えない。
間違えたかな?
「あ、すいません。間違えま・・」 「おい!」
「はっ??っえ!!??」 この声、
「そ、空っ!?」 
「あ?どこかけてんだ?」
「は?空んトコ」
「じゃぁ、俺だろ!」
「はぁ・・」 
て!なに納得してんの??なに先に怒鳴られちゃってるワケ??
立場逆転じゃなかったのかよぉ~~~~!!
「てめ、今どこ!」
「は?」 あんたこそどこよっ!!
「どこに居んだ!1秒数えるうちに言え!! いち!」
「え?あ!と、図書室!」
「は、時間切れ!」
は??なになにソレなんなの??大体1秒で答えられるかぁ~~~!!
「そこから出て、左に曲がれ。」
「は?」
「てんめ、時間守れなかったくせに、口応えしてんじゃねぇぞ!早くしろ!」
「うわっ!」 ええぇっと、図書室から出て、左に曲がる。 
まずは、うるさいから、言われたとおりに動くことにした。(←この時点でもうなにか違ってる気が・・

左に曲がる・・と、階段・・。
「そこ上がれ。」
「え、あ、うん」
なんだろ・・
ココの上は屋上・・・。
だけど、屋上へは立入禁止のハズ・・
途中、踊り場があって、そこを曲がったトコで・・
「え・・・・・」


「よ♪」

え?? 「空・・なんで、こんなトコに・・?」
彼女のトコに行ったんじゃなかったの?

その屋上に上がる手前の階段に相馬くんに扮した空が座っている。

「んー・・なんかたるくて、授業受ける気分じゃなかったからさ。ここで、サボり♪」
ペロッと舌を出しそう言う。
その仕草も・・か、かわいい///おい!
て・・
いうか・・なんか・・
私、嬉しいとかって思ってない・・??
彼女のとこだとばかり思ってたのに、実はこんなトコで1人で居たって・・
なんか、なんかっ、すっごく良かった~~~~~~~~~~っ!!!って思ってませんか????
「う///」
「ん?美未香?」
「~~~も、もうバカらしいっ!授業始まるから、私行くからねっ!」
く~~!!悔しいっ!!恥ずかしいっ!こんな奴に振り回されてる自分が情けな~~~!!!そう思って、回れ右をすると、
グイッ! 「!!」
ふわっ・・ え??

腕を引っ張られたと思ったら、そのまま、空の胸元へ引き寄せられていた。
「----/////」
「なんの為に、ここまで、誘導したと思ってんの。」
「え?」
「う~~~・・ん」
?空?? 
掴んだ腕の力を弱めて、なにやら考え込んでる様子。
「・・ガッコ終わったら、店に来い。」
そう言ったかと思うと、さっさと私の腕を離して、立ち上がる。
「へ?」
「必ず来いよ!!」
「ひっ!は、(ヒーハーじゃなくて!)はい!!」
空は一睨みすると、そのまま階段を降りて行ってしまった・・

な・んなのよっ///

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