鬼畜執事のキング
廊下を進んでいくと、角にある会議室の手前に小広い踊り場がある。
そこはあまり使われていない部屋のせいか、死角になってるせいか、あまり人はこない。
現に今も、ここだけは静かな空間に包まれていた。

「で??そ・・相~馬くんっ、委員会の人どこ?」
そこへ着くなり、不機嫌な私がそう聞くと、
「・・・・」
何も答えない。 イラッ
「そらじゃなくて!相馬くん?」
バッ! 「わっ!!」/////
いきなり抱きつかれてしまったっ!! 
「ちょ、みっみんなに見られ・・」
「そんなヘマすっかよ、壁に隠れて見えねーって。」
あ、ああそうですか・・「て!!そうじゃない!!///」
「ちっ、久しぶりに会ったってーのに、色気ねー奴。」
「はっ??//わ、悪かったわねっ色気なくてっ!!そ、それよりっ!委員会の人はぁぁ??」
「あ?いるわけねぇだろ!んなの。」
「へ?」
「ふっ」
なっ!!///だ、騙したなぁぁぁ!!!き~~~~~/////
そんな怒り沸騰な私にお構いなく、空は抱きしめている腕に力をいれてくる。
「くっ・・///」
くるし・・
けど、それよりもっ
「わけわかんないっ」
「ん?」
「・・・・麗騎士の人から聞いたよ、私、なんでVIPとかになってるの?お金だって支払い済って。」
「・・・・」
「私、払ってないよ?空、受け取ってくんなかったし!」
聞きたいことが溢れ出す。
空に答えてほしいことが山のようにある。

「なんか、お前って、俺に質問多すぎね?」
「は?!!」 ソレは、あんたが何も言わないからでしょーが!
「黙って、俺のすることに従ってろ。」
「はぁぁぁ???!!!」
コラコラコラコラ~~~~~~!!!
反対でしょ?ドー考えても、私に従わなきゃなんないのそっちでしょ!
執事じゃないんかい!!あなた!

「あ、ヤベッ、授業始まる!行くぞ!」 時計を見て、私の手を引っ張り、そう言う空。
グッ!
  でも、 私は動かない。
「?!美未香?」
「・・
  私は、空のおもちゃじゃないよ!」
本当にそう思った!
でなきゃ、こんなモテ系が私に執着する訳がない。
私で遊んで、ストレスとか発散してるに違いない。
だけど、
私は・・そんなんヤだよ。 「――っ!//」

俯いたまま、そうして立っていると、空は私の手を離し、
「ガッコ終わったら、店に来い。俺の名言わなきゃ、他の客に変に思われることないだろ、そのまま、部屋へ直行できるように店には話を通しておくから。」
それだけを言うと、教室へ戻っていってしまった。

「ソレ、答えになってないし・・。」
そう呟き、私も教室へと向おうとした。
と、その時、
「やっぱあいつ、空だったんだ。」 その言葉が背後から、聞こえてきた!
「・・えっ?」
バッと振り向くと、使われていないはずの会議室から、1人の男子が出てくるではないかっ!!
しかも、この男!も、ものすっごくイケメン~~~~~!!!!!!!///////
なにがどうイケメンかってーと、そのっ///ミルキィブラウンのサラサラ髪で!!すらっとした長身で!!二重の少し垂れ気味の瞳!!
鬼畜な空と違って、その瞳が発するのは、すごく甘い笑顔~~~~っ!!はう///
えっ??待って!こんな人この学校にいたっけ??
ぽ~~~~/////
ハッ!!じゃなくて!//そんな事よりも!!
こ、この人、さっき、「空」って言った!!
もしかして私たちの話を聞いてた???てーことは・・・
「空だよね?彼。」
相馬くんの後ろ姿を指差し、そう言うイケメン///
うわっ!!やっぱりっ!!ヤバイヤバイ!!なんとか誤魔化さなきゃっ(><)
「い、いえ、違うですよ。」 ぎゃぁぁ////なにその返答~~~~
カタコトかっ??ドコの国から来たんですか私っ???
「ぷ・・キミって空の彼女?」 と、今度は私の方を指を差して、
言うではないかっ!!!しかも、ちゃっかり笑われてるし///
「てか!はっ??あ、かっ彼女じゃないです!!」 断固拒否!
「・・ふぅん・・相馬が、空ってのは認めるんだ。」 と、と、と!!
し、しまったぁぁぁぁぁ~~~~!!!
「ふ♪」
はうわぁあぁ///その笑顔やめてぇぇぇ!!ウソがつけなくなってしまうではないかぁぁ!!!

「大丈夫。誰にも言わないから♪」
「へ?」
「だって俺も同業者だもん♪」そう言ってまたあの微笑をされた。
「はぁぅ///」 ・・・ 「あ??!!」 
えっ?今なんとおっしゃいました???

「えっと、その、」
「俺も麗騎士の執事、神(ジン)です♪よろしくね。」
ズッキュンッ///!!
はぁぁっん///これよこれが本来、執事と言うものなのよ~~~
鬼畜め!少しはこの方を見習え~・・って・・
「えっつ????」
しまった!あまりに理想を絵に描いたような執事様だったから、つい我を忘れてしまったっ///

「あっ、あなたも、あのお店の住人・・じゃなくてお方だったんですか??//」
??こんなイケメンがガッコに居たら、かなりの大騒ぎになってるハズなんだけど?
それに・・麗騎士の人なのに、空のホントの正体を知らないって・・??
どーゆうコト??
「神(ジン)でいいよ♪ガッコには俺も変装して来てるからわかんなくて当然だしね。
あ、ちなみに、2年の神田(かんだ)って名だから、学校では神田って呼んで♪
普段は黒ウイッグしてるからわかりにくいかもだけどね♪」

あ!・・なるほどっ、空と同じってことか。
なかなか、執事様たちも大変なんだね。

「俺らはさ、店側には正体明かしてんの。でも、空だけは一切、明かさないからさ、すごく気になってたんだよね♪」
「?」 空・・だけ?
「まさか、学校一の秀才くんだったとはね♪そりゃ、誰も気付かないよ。ははっ♪」
「はぁ。」
そうだよね・・あの空が実はすごく頭良かったなんて(←だから、突っ込むトコ違くね?

「みみかちゃん?」
「えっ、?・・・・名前言いましたっけ?」
「さっき、空がそう言ってたから。」
「あ・・」 なるほど。

「これからよろしくね♪」
その言葉の後に、神さんは私の頭をぽんぽんした。
「へ?///」
「じゃ、また♪」
そう言うと、会議室に戻っていく。
「??」 あそこ、住家なのか??

なんやら、不思議な人だなぁ・・

気がつくと、とっくに授業は始まっていて、コソコソ教室に入っていくと、
ジロッと、空に一睨みされた。
ちっ。保護者のような奴め!


最後の授業を終え、教科書をカバンの中にしまっていると、
りかちゃんが近づいてきて、
「そういえばさ~今日、麗騎士に行くんでしょ?」 と、聞いてくるではないか??
えっ??えっ??
「なんで??」 なんで、りかちゃん知ってるの?今日、私がお店に行くコトっ!!
「え?だって、今日は、空のハピバイベントでしょ?」
「・・・へ」

へっ~~~~~~~~~???? 
なに、今日、鬼畜の誕生日なのっ??ぜ、全然知らなかったよっ!!
空も、何も言わないしっ!あんにゃろ~~~
だから、わざわざ、店に呼んだんだなっ!!
なんだ?ポイント集めですか??セコ~~~~~ッ!!!

「さっき聞こうと思ったら、美未香。教室から出てっちゃうしー。私も、7時には行くつもりだけど、一緒に行く?」
え?・・あぁ・・さっき言いかけたことってこの事だったんだ
・・でも?
「なんで、そんな時間??」 遅くない?私、学校終わったら来い言われてるんですけど??
「?だってイベント、7時からじゃない。」
「・・・・ぇ。」
そ、そうなんですかぁぁぁぁ??
えっと、んと、
「あ、あの、私は後から行くから。りかちゃん先に行ってて。」
とりあえず、一旦お断りして。

私はカバンを抱えると、すぐさま玄関へと向った。
相馬・・相馬・・ 
空の靴箱を探す。
「あ!ここだ!」 見ると、すでに靴がない・・
ホント、いつも早いっ!一体どんな手を使ったら、こんなに早く下校できるんですか?

はぁ・・・居たら、今日の事、聞こうと思ってたの・・に
・・て、・・ホント、私、空に聞いてばっかだ。

大体、謎だらけすぎるんだよ!!さっき神さんも言ってたよーに、なんDE??あいつはあんなに隠し事が多いのだ??
趣味かっ??

そんなん思いながら、麗騎士へ。
時刻は只今・・16時。
お店の外はまだ、静かだった。
だけど、お店の外にはデカデカと
『No.1執事 ◆空◆ ハピバ!!』
と描かれた看板に、ご丁寧にアイドルなみのポスターが入口を塞いでしまうのではないかと思うくらいの大きさで飾られてた。
お店の力の入れ様がハンパない。コレを見るだけでわかる・・
指名とらないのに・・
そんなんで、お店に利益とかあるのかなぁ・・?
このお店の内情ってよくわからん?

入口の扉に近づくと、お決まりのように、スッと扉が開かれた。
中から現れたイケメン様は、いつものセリフではなく
「申し訳ございません。本日は19:00 OPです。」と頭を深々と下げる。
「あ・・の 鈴木と言いますが・・その」 そう言いかけたトコで、
「あ!鈴木様でしたかっ!申し訳ございません!話は聞いております。どうぞこちらへ」
そう言って、お店の中へとエスコートしてくださった。
ホッ・・
良かった。ちゃんと、言っておいてくれてたんだ空。
門前払いされたら、どうしようかと思っちゃったよっ!!

廊下をすすんで、あの見慣れた扉の前まで来ると、エスコートしてくださったイケメン様は「では、失礼します。」 と下がって行ってしまった。

んと、部屋に入っていいんだよね?
ちょっと、不安になりながら
コン。 と1つ、扉をノックした。
すると、中から
「どうぞ。」 と声がする。

「・・失礼しま~す」 小さい声でそう言いながら、ゆっくり扉を開けると、

「わっ!!」
部屋に入った途端、ビックリした!!
み、見事!花だらけっつ!!部屋中、花に埋もれてますよっ??
ソコは、まさにゲーノー人の楽屋のような光景が広がってて、
TV出演する大御所ゲーノー人のごとく花輪や花束が所狭しと飾られてて!!
「な、なにコレ??」思わず叫んでしまった!

「誕生日プレゼントだってさ。」
花の奥からそんな声が聞こえた。
「え?あ!空?どこに居るの??」
あっち向いても、こっち向いても、花・花・花・花・花
ええいっ!うっとおしい!!

「こっち。」
花の中から、伸びた腕、発見!!
その方向へ進んでいくと、
「・・!!」
そこだけ、少し花が退けてあり、白く大きい鏡のドレッサーが現れた。
そして・・
その前に座って居るのは・・ 

や・・ヤバイくらい・・な 空っ「――/////!!!」
いつもの黒のイメージは全く無く・・、真っ白なスーツとシルバーのアクセに身を包まれて・・金色の髪は後ろに流すようにキレイにセットされ、少しメイクされた顔は、もうそこらへんのアイドルなんて目じゃなくて!
「~~~~~~~~~~~~~~///////」
顔が・・頬が、自然と赤く染まっていく・・////

「惚れ直したか?」
「!!///--・・っ!だ、誰が!!っ大体、最初っから、惚れてもいないし!」
ドギマギしながらも、そう答えると
「可愛くね。」 と、バッサリ! グサッ
「ぅ!//」  ど、どーせ、可愛くないですよー。身も心も!フンだ!

「で?」
「は?」
「誕プレ。」
「え?」 
「・・・・」
「・・・・」

「じゃ、いいよ。」
「え?あっ、と、その、ごめん!空の誕生日が今日なんて知らなかったし!その、・・・ごめん。」
ああ・・そうだよね、りかちゃんから聞いてたじゃんね。
何でもいいから、一応用意くるのが普通だよね・・。

なんだか申し訳なくなって
「やっぱ・・帰る」
入口の扉の方へ体を向けると
「お前、何しにココに来たの?」
って。おい
「あんたが来い言うたんでしょーがっ!でも、もう帰る!」
「ふぅん・・帰るの?」
「く、くどいなっ!!かっ帰るよ!どうせ、空、なんも教えてくんないし!そんなんだったら・・イミないし。」 
そうだよ、誕プレも持たないでただ、来いと言われて来ただけ。
それに空は何も言ってくれない答えてくれない。
だったらココにいるイミなんてない。
「VIPをイヤがる女、初めて。」 と、空は私から少し離れ

「ん?・・」 アレ?私の疑問に答えてくれてる?
チラッと空を見ると、壁の方を遠い目で見て・・る。

「?・・・別に、イヤなワケじゃ・・。でも、私、お金も払ってないのに、なんか悪いじゃん。」
あ・・お金払う言っても、VIP金は持ち合わせてないんだけどね。
「律儀だね。自分で金払わないとイヤなんだ。」 
「?・・普通・・そうでしょ」
「普通・・女って違くね?」
?ソレって、私のコトは女じゃないぞ発言ですかっ??
「どうせ、空の周りにいる可愛い女のコたちとは違いますよ~だ!」 ふ~んだ!

「あぁ・・違うな。」
「!?」 なっにぃ~~~~~!カッチーン!!言うのと言われるのとではショックの大きさが違うんだぞ~~~!!わかってんのかー!!!ムッキーッ

ぶすーっとした顔でそっぽ向く私に、空は
「ふ。」 と、ひと笑いし、目線をこっちに向けてきた。
「///」
そのビジュアルの良さになんか・・ムカつく!(←結局ソレかいっ!

「まぁ。金の事は気にすんな。」
そう続ける空の言葉に、
はっ??
「絶対にダメ!!」 と、言い切った!!
だってお金だよ??私もバイトしたからわかるけど、ホントお金を稼ぐのって大変なんだから!!ソレを、
「わけわかんないコトに、簡単に使っちゃダメだよ!」
今度は、ちゃんと空の方へ向きなおして、そう叫んだ。

ん?空の顔が変。いや、変て、ほんとの変じゃなくて、・
その、固まってる?テキな?顔??

「そ・・ら?」

「あ、あぁ・・」 私の呼びかけに、やっと表情をかえ動き出す。(←機械すか?ゼンマイ仕掛けすか?

でも、 やっぱまだ変。
その後、下を向いて黙りこんじゃってる・・。

「・・お前は・・いいな。」
「え?」 やっと、声を出したかと思ったら、またワケわかんないぞ??
しかも、またまた黙り込んじゃうしっ??

し~~~~~~~~~~~~~~ん・・
き、きまずい・・
「あ、あのさ、この部屋ってなんかふつーにお家の部屋みたいだね」
違う話題(疑問?)をふってみた。
「あ、ああ奥にはシャワー室も完備されてるしな。」
「え?それってもはやワンルームと同じじゃん!すごいね」
「いや、俺の部屋だけだけど」
「だけ」だけど?
え??空の部屋だけ??ソレって・・
「NO.1の特権とか?」
「・・・・」
また、無言になる空。
違うのかな?聞いちゃ・・ダメなコトだったかな?
すると、
「俺・・家ねぇから。」
・・・・・・ 「・・・はぁっ??!!」
「ココに寝泊りさせてもらってんの。」

・・・・・・HA??A???

「このソファはベッド代わりになるし」
「え、いやいや」
話、戻そうよ!
シャワーじゃなくて、ソファがベッドでもなくて、ううん、そんなんよりも重大なコトに重点をおいてしゃべろーよっ!!
えっと、えっとっ!
うわぁぁぁぁ~~~~~~~~!!どう絡んでいいのかわかんないぞぉぉぉぉ
重すぎませんっ?サラッと言っちゃえれるホドのウエイトじゃぁありませんぜっ!旦那っ!

ワタワタしている私を、空は呆れた顔で見ている。

うわぁぁ・・どうしよっ、どうしよっ!!
待ってるよ!絶対に私のフォローを待ってらっしゃるよ!


何も言葉がセレクトできなくて、ワタっていると、その目の前を、空は普通にスルーして行く。
「へ?そ、空っ??」 フォロー、待ちきれませんでしたかっ??
私の声に、「もう準備しねーと、な。」 と、ネクタイをヒラヒラさせ、ドレッサーの前へと歩いていってしまう。
「え、あぁ・・あの」
それでも、言葉に詰まってしまってる私に、
「制服じゃ、イベントに参加できねぇぞ。」 と、軽く微笑んでお花畑の中へと消えた。
「・・・・・」
結局、さっきのカミングアウトなお話は中断され、元々のVIP金の事などはもはや忘れ去られたかのようで、私はポツン。
お花畑の中からは、ドライヤーの音が聞こえてくる。

この後、私どうしようかな・・
制服だし・・コレだとイベントには参加できないらしいし。
ていうか、別にイベントなんて行く気なかったし!
それに、
これ以上、ここにいても、空は忙しいだろから、さっきの話の続きはしないだろーし(←や、私が無理なんだけどね!返答準備できてないっす!申し訳ないっす!!
はぁ・・
んじゃ、帰ろか・・な
ドアに近づいた際にお花に囲まれて、髪をセットしている空と目があった。
うわっ、きまずい!
でも、かっこよさが増してやがる!///ちっ!
顔が赤く染まる前に、
「まぁ、イベントがんばってね。」 それだけ言って、さぁ帰りましょ♪と、お花を掻き分け出口へと行こうとした。

「来ねぇの?」
「え?」 その言葉に振り向くと、キレイにセットされた髪とネクタイをちゃんと結び直されたスーツ姿の空が、あの瞳で睨んでいる。
「--!!////・・え?どこに??!」 んな目で見ないでよっ!あ、焦るっ!!//

「どこに・・って。」 はぁ・・とため息をついて、私の側に近づいてきた!
ジリジリと壁側まで、追いやられ逃げ場の失った私!それを上から睨み下ろしてる!!
こえ~よっ!!////

「身ィ、1つで来い!!」
「はっはいっ!」 ハッ!思わず返事しちゃったよ~~~っ!しかもいいえじゃなくて、はい、言っちゃったよ~~~~っ!

「あと、・・」
ん?

「なんかあったら・・この部屋に来てろ。」
「?」 そら・・?

「わかったか。」
「あ・・う、うん」 て、あんま良くわかってないけど・・。

「じゃ、行け!、間に合わなくなるぞ。1分でも遅れたら殺すかんな!」
「ひっ!はっはいっ!」
ひぇぇぇぇえっ!!イミわかんないけど、あの目で凄まれたら言うコトきくしかないじゃん!!ひきょうもの~~~~!!

とりあえず、早くこの場を離れなくては命の保障はできないぞっ!と考えた私は
すばやく花をどかして、すぐさま店を後にした。


家まで、走り着くと、すぐに部屋へかけあがってべッドへ沈み込んだ。
ハァハァ・・・「マジ、おっかないっ!」
て、今何時??
部屋の時計を見ると、
PM6:00・・10分前。
えっと、イベントが7時からだから・・遅くても、ココを6時半には出ないと間に合わない・・。
『1分でも遅れたら殺す・・』 って!!
ヤバイッ!!

あいつならやりかねない!!なんせあの鬼畜だもん!!
殺して、ソレ喰うんだ!絶対に主食は人間の肉とみた!
あぁぁ!!そんなコトより、準備準備!!
・・・
い・・一体
なに着ていけばいいのだ~~~~~~~~~~~~~~~???

身、1つって空は言ったけど、そんな事できるわけないしっ!
そんなん痴女だし!犯罪だし!捕まるし!

う~~~~~~ん・・

散々、悩んだあげく


「りかちゃ~~~~~~ん」
結局、コレか!頼るべきものはセレブな友人♪

そのりかちゃんの助言のもと、私のクローゼットにある中で、唯一のワンピースをチョイスした。
親戚のお姉さんの結婚式で着たものだ!
淡いパステルピンクで、原色しかない服の中で、影薄くクローゼット内に眠っている。
ま・・私にしちゃ・・可愛いけど、・・地味だよね。

とにかく、ソレにすばやく着替えて
さぁ・・次は髪を巻きましょ♪
て、ゆっくりしてられないんだった!!あとタイムリミットまで10分くらいしかない!!
「か、軽く巻くだけで、いいよね、あんまり、気合入っていくと、空の奴を喜ばせかねないし!」 また、あいつの自惚れ度が↑するだけだしー
ゆる巻き程度に仕上げてると、
外から プアン!
と、車のクラクションが1回鳴り響いた。
「あ、りかちゃんだ!」
窓から、顔を出すと、白い高級車(たぶん、いや絶対!だってデカイもん!←基準ソレ

服の事で電話した時、やっぱ一緒に行く?てコトになって、
りか様がお車で迎えにきて下さったのだ!

大急ぎで玄関まで走ると、ママに
「じゃ、行ってきます~」 と一声かけて家を出た。
家の中から、「遅くなるよーだったら、連絡入れなさいよー」と小さくママの声が聞こえる。
「はーい。」
と扉に向って返事をし、すぐにりかちゃんの車へ走りよった。

車のドアは、運転手の方が開けてくれ、それに乗り込むと
「わっ!」
シート横には、ゴージャスなりかちゃんっ!!!(キラキラ
「りかちゃんキレイ~~~///」
「美未香こそ可愛い~♪」 女子定番!誉め合いバトル!!

しかし、はぁ~・・やはり、お嬢なんだな、
つけてるアクセとか、全然違うもん。
私なんて、安物ピアスぐらいしかつけてないよぉ
まぁ・・誰に見せるってワケでもないからイイんだけどさ。
りかちゃんは、たぶん、リクさんに見・・
ん?
疑問・・
「・・ねぇ、今日は空のイベントでしょ?リクさんはいいの?」
「え?ああ、リクにはイベ中、エスコートしてもらうわよ。」
「あ、そうなんだ。」
「うん、他のコのイベントの時は自分の指名した執事が、その固定客につく事になってるの。」
「へぇ・・ん? でも、客って・・1人じゃないでしょ?」
「うん、その中で、一番のVIPにつくのよ。だから、エスコートされてるコは特別VIPって事になるわね。」
「はぁ・・」  そうなんだ・・
あ、てコトは、りかちゃんもリクさんの特別VIPっつーコトだよね!
さっ、さすが!りかお嬢様っつ!!!
アレ・・?「じゃ、空も他のイベントの時は私につくってコトなのかな?」
「う~~ん・・今時点で美未香がそうなるわけだけど、空は、指名とらないって公言してるから、そんな事したらモロ反感かっちゃうんじゃない?」
「あ・・うん・・そうだね。」 無理だね。
「なに?エスコートしてほしかった?♪空に♪ニッ♪」
!!///お、お嬢っ!!お下品なっ!!
「べ、別に!そんなワケないじゃん!//」
それに、・・
あの鬼畜空がエスコートなんて、できるのかっ??
そっちのほうが心配だよ!

そんなんしゃべっている間に、「麗騎士」に到着っ!

車から、降りると、すぐにリクさんが、りかちゃんを迎えに出てきて、その手をとる。
そんな姿を見て、
はぁ・・いいなぁ・・私のあこがれが目の前で行なわれている・・
と1人、落ち込む私であった。
ガックリ肩を落として、歩き出そうとした その時、
「お手をどうぞ。お嬢様。」
と手が差し出されたではないかっ??!
「ふぇ?」 まぬけな声を出し、顔を上げると、
ソコには・・
あの・・
・・・・ミルキィブラウンの髪。

「じ、神さん??」 
そうその手を差し出してくれたのは、紛れもない・・
ガッコで会った神さんで・・。
その、あの、ガッコで会った時より、数倍カッコいいんですけどっ??(や、ガッコん時も十分カッコ良かったんすけどねっ!!
イベントのせいか、金使用の部分が大目の黒いスーツ着てて、
それがまた、髪色と甘いマスクに良くお似合いになられて~~~////はぁう///
「美未香?神と知り合いだったの?」
前を歩いていたりかちゃんが、わざわざ振り向いてそんな事を聞いてくる。
う~・・ん 学校で・・とは言えないしな・・
チラッと神さんを見ると、ニッコリ笑って、
「うん、りか嬢♪ 美未香ちゃんには、3ヶ月後、俺に指名乗り換えてもらおーと思ってる♪」
「え・・?」 
「ええっつ??」 りかちゃん以上に驚く私っ!
「ふ。よろしくね♪」 そう言ってニッコリ微笑まれるとぉ~///何も言えなくなってしまうではありませんかぁぁぁ////
返事に困るよ~~~っ!神さんてばぁ!!(><)
「・・ふ~・・ん」 りかちゃんは怪訝そうな顔をしたけど、すぐに向き直ってリクさんとお店の中へ入っていってしまった。
?? りか・・ちゃん・・?
フッと見上げると、あいかわらず、神さんは微笑んでいる。
「あ・・の神さん・・指名とか・・その」
なぜか、言葉に詰まってしまってる・・Way??
「3ヶ月後が楽しみだな♪美未香ちゃんは、俺を選んでくれるか、それとも、継続すんのか♪」
「?///」 な・・んか楽しんでませんか??
ソレに、継続って、つまり、空を指名しつづけるってコトだよね?
まぁ、指名してないんだけど、結局、表向きにはそうなるんだよね・・

あ・・ありえないっ!!
あんな鬼畜になんで、継続??
私は3ヶ月たったら、速攻、空から外れて、他のイケメン紳士執事様に乗り換えるんだもんねー!
あ、だったら・・別に神さんでいいんじゃない?こんなスペシャルイケメン様からありがたいコトに、申し出をしてくださってんだし・・。

私・・なんで・・すぐに
はいって言わなかったんだろ・・?

そんな事を考えながら、神さんに手をひかれ、お店の中へ入っていった。
ん?そう言えば、
「神さんのエスコートする相手は?」 と尋ねてみた。
こんなイケメン!客がいないワケがない
「ん?あ~、だって、美未香ちゃんを見つけちゃったからさ♪」
と?ワケのわかんない理由を言う。?? え・・なんだか・・
「あの~・・?」  なんだか・・
「だから、今日は美未香ちゃんをエスコートするっきゃないでしょ?♪ふふっ♪」
なんだかなんだか~~~~~~~~~~!!
こ、この人っ!空のよ~な・・危ない匂いがする気がするんすケドっつ!!!
 
ドクドクと心臓を鳴らしながら、いっぱいいっぱい不安を抱きながら
神さんに連れられ、ホールらしきところへ出る
と、
そこは、空の部屋にあった花以上の花が、とてもセンスよくホール内にディスプレイされて、眩しいくらいの光があちこちから交差するように照らし、中央にはそれはそれはドデカイシャンパングラスのタワーがたっている。
こ、ここは・・ホスクラですかっ??テキなものを感じたが、あえて口にはしないでおこう・・うん。

しばらくすると、
激しい音楽が流れ始め、光が一点を照らす。
そこに表れたのは、
さっき見た衣装の・・空・・
「きゃぁぁぁぁ」「空~~~~」「かっこいいーっ!」
ひぃえぇっっつ!!
空の登場と共にホール内に響きわたる歓喜!!
なになに、やっぱ、りかちゃんの言うとおり、マジで人気あるんだ!空っ!
「はう・・」
回りのあまりにも激しい歓声にクラッとしてしまう。
ガシッ。
「え?」 ふらつく私の背に軽く手を回して、体を固定してくれたのは、神さんで。
「大丈夫。俺が支えるから♪」 と、ニコッとされた。
「///す、すいません」
「ふ・・あやまらないでいいよ。それにしても、さすが、NO.1だけあるね。」
「あ・・うん、なんか信じられない。・・私にしてみれば、神さんの方がNO.1っぽいけどな・・。」
「ふふ、ありがとね。」
そう言って笑うけど、お世辞じゃなくそう思う。
さっきは空と似てるかな?って少し思ったけど・・
・・空はこんなふうに優しくないもんね。
執事っぽくなんて全然ないし・・
なのに、なんであんなに人気があるんだろ??
ここにいる女子の好みはわからんよっ!!

ふと、空の方へ目線をやる
 「う!」
え? い、今、空と目が合ったよーな気がするっ!!
み、見間違いだよね・・ こんな人数の中、私の居場所なんてわかるわけないよねっ??!!ま、まさかね
そ~・・っと、 再度見てみる・・
ギランッ! 「ひっ!」 わわっ!!なんで睨んでんの~~~~~~っ??!!
はっ??どーゆう目ぇしてんの??てか、私なんかしたっけ??
ていうか、わざわざこっち見るなよ~~~っ

空の隣にいらっしゃる執事様が、コソコソッとなにか空に言っている。
??その後、空は私から視線を外して俯いた。 ????
そして、ふたたび顔を上げた空の顔は・・
「は????」
てぐらいっ!誰?あなた??ってくらい
とってもとっても麗しい笑顔を見せ、周りの女の子達に微笑みかけてるっ!!!???
それにあわせて、更に歓声が沸きあがった。
「へ?空?」 マジで空なんですか??
その笑顔を見せたあと、空は
「今夜は、僕のハピバイベントへいらしてくださり、誠にありがとうございます。」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」「おめでと~~~~~~~~~」
ひぃぃぃぃっ!!
「楽しんでいってね♪」 ニコッ♪
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ????!!!
なんなんだぁぁぁ??今のはぁ??ニコッ??ニコッって笑いました??
そんな眩しい笑顔はどこから出してんですかっ??
ソレになに?あの歯の浮くようなセリフはっ!!しかも僕??僕って誰??
ぶぶぶっって噴出しちゃうトコだったよっ!!

笑いを押さえてると、空が一瞬、こっちを見た。
「わっ!!」 目ぇ笑ってるケド!すげー怖のオーラが出てる!私には見える!!
あ?私にしか見えないのかっ!!
でも、空はすぐに目を逸らすと、今度は高々と積まれたシャンパングラスの前に立った。
ソレと同時に、両脇にいる執事様がシャンパンボトルを手に持ち、上からグラスへと注ぎ始める。
シャンパンとグラスが光に反射して
キラキラキラキラ
「キレイ・・」 つい見とれてしまう・・
すべて注ぐと、執事様たちは一旦、後ろに下がられ、その前へ出てくるのは、
鬼畜・・じゃなく空。
あ・・でも・・空の金色の髪とそのシャンパンの色が見事に調和してる・・
キラキラキラキラ
はぁ・・くやしいけど、ホントにくやしいけどっ、マジで口にすんのもイヤだけど(どんだけだよ!
かっこいいんだ・・な///
そんな空に見とれてたくなくても見とれてると、(しつこいなっ

「美未香ちゃん」
「え?」 いきなり、隣にいる神さんに呼ばれた。
神さんの方へ顔をむけようとして・・「・・え?」
そのまま・・振り向きざま  
キス・・ された。

へ??!!!
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