Eye Love
しかし、そう思ったのもつかの間、今度は携帯が騒ぎ出す。

俺は布団を耳まで被って、音を聞かないようにしたが、いっこうに鳴り止む気配がない。

俺は不機嫌さをこれでもか、と言うくらいに出して携帯に出た。

「…誰だよもう!」

「神代くんおはよう。
やっと起きたね?」

こ…この声は?
聞き覚えのある声に、俺の脳は目覚める。

「榎本さ…ん?」

「そうだよ?早く起きないと遅刻しちゃうよ?じゃあ学校でね?」

それだけ言うと榎本さんは電話を切った。

ツーツーツー。
繋がらなくなったものの、俺は携帯を離さない。
いや…離せなかった。

さっきまで、榎本さんと電話していたのだ。
俺は、その余韻に浸っていたかった。しかし、陽菜によって途端に現実に引き戻された。

「お兄ちゃん…!起きたんなら早く行きなよ!」

確かに電話をもらっておいて、遅刻するのも申し訳ない。俺は急いで、制服に袖を通して、パンをくわえて家を出た。

しかし、俺はここで妙なことに気付いた。
俺は、榎本さんに電話番号教えてないはずなのに何で知ってるんだ…?
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