Eye Love
「あんたが莢未の何を知ってるの…!?」

「何も知らない。何も話してくれないから」

「『瞳』が莢未に似てるからって…私はあなたを認めない」

「…陽菜!!」

「お兄ちゃん。私今日は帰るよ…」

それだけ言い残すと、陽菜は一度も振り返らずに俺達から離れていってしまった。

「…裕也」

「ご、ごめん!!陽菜があんなこと言っ…」

「裕也、前“瞳”が綺麗って言ってくれたよね?」

美咲の声は微かに震えている。

「私、ホントに嬉しかったんだ。あんなこと言われたの、初めてだったから」

「美咲…」

「…だけど違うんだね。莢未の瞳に似てるだけだったんだね……私、馬鹿みたい。それだけなのに…凄く喜んじゃって…」

「ちが…俺は本当に…」

「もう聞きたくない!!」

美咲は俺の方を振り返る事なく、駆け出していってしまった。

だけど、俺は追えなかった。

莢未が好きなのか。
美咲が好きなのか。

ケリをつけないといけない気がしたんだ。

死んだ元カノ…。
一生の愛を誓った莢未。
その莢未に似た瞳をしてている、美咲。

似てるからなのか…?
似てるから好きだったのか?

陽菜のこと言えねぇじゃねぇかよ……。莢未のことで負い目を感じてるのは俺も同じじゃないか。
そんなもんだったのか…
俺にとって、恋ってのは、そんな程度のものだったか?

答えろよ…。
答えろよ……俺!!
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