篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
流行りの曲に合わせて、笑顔で踊る倉科がマジかわいくて仕方ないんだけど、どうしたらいい?
絶対俺だけじゃなくて、他の男も見てるだろ。
悪い虫がつかないように、このまま目の届かないところへ攫いたくなってきた。
「なんか真顔でガン見してると思ったら倉科を見てた感じ?」
「当たり前。倉科しか見えてねーから」
「……お前、そんなキャラだったっけ?」
瑞季の言いたいことは分かる。
以前の俺だったら、ありえないくらいの惚れっぷりだからな。
倉科がかわいすぎるのが悪いんだよ。
外は真夏並みの気温で、熱中症でダウンする奴も出てくるほど暑い。
俺もとんでもない暑さでバテ気味だったけど、どうでもよくなる。
あー……やば、無性にキスしてぇ。
ふっかいキスして、腰が砕ける倉科を見て優越感に浸りたい。
でも、あんまりがっつきすぎて、嫌われたら困るから我慢。
「てか、倉科が好きって高らかに宣言してたのは知ってっけど、お前ら付き合ってたっけ?」
「付き合ってねーけど」
「その感じだと、もう付き合って手を出してるんかと思ってたわ」
遊んでた時は、適当にヤって飽きたら関係を切ってだけど今は違う。
好きな子だから、ちゃんと大事にしたい。
「誰にでもニコニコして、他の男が寄ってきたらマジどーすんだよ。つか、寄ってくるだろ」
「……」
「注意してるのに直んねーの」
「もう1回聞くけど付き合ってねーんだよな?」
「これから俺のものになるんだよ。
つーわけで、倉科に手を出したら瑞季でも容赦しねぇからなー」