篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
コイツは根っからの女好きだけど
ナンパした女子に彼氏がいれば身を引くし、
既婚者の年上お姉さんに迫られても断る。
そこまで最低なクズじゃないはず。
俺が倉科を好きなことを知ってて、
狙ったりもしないと思う。
かといって、瑞季は顔がよくて口が上手いから100%安心はできない。
しっかり釘を刺しておく。
「ははっ、お前彼氏ヅラやっべぇーー!」
手を叩いてゲラゲラ笑う瑞季が意味わからない。
俺、変なこと言った?
女たらしの遊び人に取られないように、
こっちは至って真面目なんだけどな。
……自分で言っといて、特大ブーメランが突き刺さったわ。
笑い方がクソ腹立つから、ちょっとからかってやろ。
「瑞季だって、ちひろばっか見てたの知ってるから。いい加減、好きって認めてさっさと告んねーと後悔するぞ」
肘でグイグイ押したら、あからさまに目を泳がせる分かりやすい奴。
「はぁ?別にみてねーし、ちひろはただの幼なじみだよ」
そうやって、はぐらかしたって俺は知ってんだよ。
お前がずっとちひろを目で追ってることも、
3人で撮った写真のちひろが写ってる部分を拡大して見てることも。
俺の家庭事情でずっと心配かけて、
メンタル弱ってた時に支えてくれたから
たまには力になってやりたい。
「バーカ、何年一緒にいると思ってんだよ!もう焦れったいから俺が代わりに言ってやろうか?」
「おい、余計なことすんなよ!?」
会話がヒートアップしてる間に、ダンスが終わったちひろが俺たちの元にやってきた。