篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



篠宮くんが部屋に入ってから、静かに扉を閉めた。


「帰りたいのに急にごめんね」

「いや、別にいいけど……話って何?」


何から話そうかな。

聞きにくいけど、まずは篠宮くんの家族について尋ねてみることにする。


「あの、さっき親は帰りが遅くても、体調崩しても興味ないって言ってたでしょ?篠宮くんって、親と仲悪いの?」


「仲悪いっていうか……俺が期待に応えられなくて、失望されたんだよ」


「それってどういうこと?」


「倉科に答える必要はないだろ」


うん、そう言われてもおかしくはない。


幼なじみの佐野くんや藍沢さんならともかく、
ただのクラスメイトの私に話したくないと思う。



「それでも、沈んだ表情をしてたのが気になったの。そんな顔をしてる原因を取り除くことはできないかなって思って……大きなお世話だよね。
嫌だったら、これ以上は聞かないよ」


お節介なのは分かってる。


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