篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「言ってくれたらいつでも教えるよ。
倉科だったら、お家デートでもアリだし」
「なっ……堂々と二股発言したらダメ!
彼女さんが怒るよ!?」
動揺しすぎて変なこと言っちゃって、軽く笑われた。
「ははっ、何言ってんの?
彼女いないって前に言わなかったっけ?」
あっ、言われてみれば。
彼女いたら私とキスなんてしないか。
「彼女いないって!チャンスだよお姉ちゃん!」
期待の眼差しを向けてくる心音に対して、何も言えなかった。
んー、心音は本当の篠宮くんを知らないからな。
なんでも出来て周りからの信頼が厚い、完璧な王子様なのに遊んでいるのだけは心の底からもったいないと思う。
私が彼氏にしたいと思うのは、優しくて爽やかで、真面目な人。
私と篠宮くんじゃ、恋愛観が合わなさそうだと思った。
それなのに、キスを受け入れてるのは矛盾してる。
……だから、今日でこの関係をやめようって言うんだ。
今までなんとなく流されてたけど、
曖昧な関係をずっと続けるのは良くない。
いつか篠宮くんのファンやそういう関係の人達に、やっかまれてもおかしくないから。
「そろそろどっちかお風呂入って!」
弟達に声を掛けた後、篠宮くんの方に向き合うと小さめの声で伝えた。
「篠宮くん。帰る前に話があるから、2階の私の部屋に来てくれない?手短に終わらせる」
頷いたのを確認すると、先に階段を上がって自分の部屋に向かう。