この恋は狂暴です
《薫side》

くくっ、マジではまりそ。いじめがいありすぎ。
しかも、あんな顔であんな声を出されちゃ、普通の男だったら止まらねぇんだよ。 ふ。
俺すら危ない。

「か、薫っ!薫ッ――――!言うから、言うからやめてっ!」
目を潤ませて畑野さんは叫んだ。

「あ―――、いいよ別に、ホントは言いたくないんだろ?
もう俺も止まりそうにないしっ」 そう俺は言ってニッと笑う。

サ―――――――――――――――――ッ
血の気の引いた表情を見せる畑野さん。

「ふっ。」
「?!」

「ウソだよ、 無理にはしねぇよ。別に、相手に不自由してねぇし。」
「!!」
バシッ!畑野さんに軽く頭を叩かれた。
「っつ――ってーな。」
「み、みさかいなしッ!」

「で?」
「は?」 畑野さんはきょとんとしている。
「どうして俺のことわかったのか言う気になったんだろ?それとも続きする?」

かぁ―――――――――――――っ
見る見る畑野さんの顔が赤くなる。

ぷっ。青くなったり、赤くなったり、おもしれー


「・・あの」 畑野さんが話し始めた。


「あの時、拉致った奴が、薫の事「2年のくせに」って言ってたでしょ。」
「んー、そうだっけ?」 俺はどうでもいい奴の言葉はどうも聞こえないらしい。

「言ってたの!
だから、あ、同い年なんだと。」
「お前、あんな時に冷静だね。 さすが」
「もう!ちゃかすんだったら言わないからっ!」
ぷうとふくれる頬。

「わかったよ。大人しく聞きますって。」そう言って畑野さんの頬をつまんだ。



「んもう!」 頬をさすりながら、畑野さんは話を戻した。

「だから、同い年だし、」
「う ・・ ん?」
「その ・・こ ・・うこう」
畑野さんの言葉がつまる。
 
「?どうした?」 畑野さんの顔を覗きこむと
は?
超――――――――――――顔が赤いっ!!なんでっ?! 
俺、別に触ってねぇよな?

「う、ウチの中学って変わっててね。 私、誰とも行き合う事が出来なかったの」

いやいや、中学校が変わっているんじゃなくて、あなた限定みたいなんすケド?

「だから ・・その・・高校に入れば ・・・その・・」

「ん? あー、誰かと付き合いたかったんだ。」 俺は笑う。


「!!」 畑野さんの顔がますます赤くなる。
ま、一番レンアイしたい時に出来ないってのは確かに酷だよなー
桃弥の奴、ある意味残酷だって。くくっ
俺は笑いを堪えながら
「高校に入ったら彼氏つくるつもりでいたんだろ? の、ワリには色気なしの言動はいてたなー。あれじゃ男寄ってこないって。」


「誰でも良かったってワケじゃなかったから ・・私」
畑野さんが真っ直ぐ俺を見てそう言った。
「?」

「薫がっ ・・」 畑野さんが声を詰まらせた。
また顔を伏せていく

「 ・・・俺が、どうした?」 俺は何かを直感しながらも聞いた。



「私、・・・薫と同じ高校に行きたくて ・・っ、調べて、
それで薫ともう一度会いたくて・・薫とっ ・・」
大粒の涙を流しながら、畑野さんはそう言った。


「 え?!」


ある程度、予想はしていたが、あまりにも想定外の内容に驚いた。


「うっ、くっ・・」
「え ・・と?俺?と?だって、あの時、たった一度しか会ったことのねぇ奴だぜ?」

「私にとっては、忘れられない程だったの。」 泣きながら畑野さんは言葉を続けた。
「 ・・高校に入って最初、薫を見つけた時は、ホントうれしくて。 外見はかなりマトモになってたから、ちょっと探すのに手間どっちゃったけど。」 と涙顔で笑う。

か、カワイイ顔でそんな事いいやがってっ

実は俺はかなり動揺していた。
どこでわかったとかの問題じゃない
初めから、畑野さんは俺を知ってて・・
俺の事を追っかけて・・きた?
このじゃじゃ馬が ・・・それも ・・・もう一度会いたいってだけで ・・・
そんな事までできるもんなのか?!


「 ・・・だけど、なかなか声をかけられなくて」
「え?お前が?」 あ。つい、いつものクセで言っちまったっ。
「どうせっ!私は口も態度も悪いですよっ !」
「いや、ごめん。なんか信じられなくて ・・さ。」

「 ・・・・私も。」
「は?」  「私も信じられなかった。」
いきなり顔付きが変わる畑野さん?

「いつでもいっぱい女の子たちをはべらせてて、近寄る事すらできやしないしっ!」
「うっ!」
「外見と一緒に、軽い性格に変わってたからっ!最悪っ!」

それはぁ、ご、ごもっとも。
「でも中学の頃から女遊びはしてたけどなー?」 その言葉に畑野さんは食い付く!
「は?マジでサイテー!!」 と完全に怒っておられるご様子。
そして、
「あの時の薫は優しかったのに ・・・」
と、ボソッと呟いた。

なんかさ
俺の知ってる女にもウザイくらいな奴いるし、ストーカー?って奴もゴロゴロいて、はっきり言って気色ィ。
そんな女たちと畑野さんのやってる事は同じなんだけど ・・?

なんでかな?畑野さんのコトは
カワイく思えてしまう。

こんな
涙も乾いていない瞳でこの俺を睨みつけてる女。

なんかイミわかんねーけど。
俺、もしかして畑野さんのこと 
スゲー ・・気になってるかも。



「今まで、俺の事、ず―――――っと見てたわけ?」
俯いたまま、俺は畑野さんに聞いた。

「うっ ・・・うん。」
「畑野さんって、もしかしてストーカー?」
「えっ?!すっストーカーっ?!ち、ちがっ・・」
言葉の途中で俺はすかさず、畑野さんの腕を掴んで引き寄せた。
「!!っ?!」
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