この恋は狂暴です
「やっべっ、遅刻ッ!!」
俺、藤木薫。高校3年生になりました!って、今そんな悠長な事を言ってられる状況じゃなく、まさに大ピンチ!!
彼女である乃野と、今日は水族館に行く約束してて。目覚ました時には既に、約束の10分前っ!
「うっわ―――っ!ぜってー怒ってる、乃野っ!」 俺はバイクをフルで走らせた。
「って!!こんな時に赤信号かよっ!」
一応、信号無視はしないコトを乃野に約束させられたからっ、止まるしかない。
あ~~~~~~~イライラする~~! 早く変わりやがれっ、信号!!
~~~♪~~~♪
うっ!着音、 ぜってー乃野だっ!
スマホを見ると、やはり着暦は乃野。
「か~お~る~!」
出ると、すぐに乃野の不機嫌な声が聞こえた。
「悪いっ!乃野っ、あと10分まって!!」
「も――――――っ!そんなに急いで事故られたら困るからっ! もう15分だけ待ってあげる!」
「って!たった延長5分かよっ!」 俺が突っ込むと、乃野は
「あはははははっ♪ とにかく、安全運転で来てね、待ってるから!」
そんな明るい声で答えてくれる。
ホント、イイ女だよ。乃野。
そう呟き、画面を閉じると、 同時に、
「待てって!!」 ん?
歩道の方で男が何か叫んでいる? チラッと横目で見ると、女もいて、どうやら、痴話ゲンカをしてるらしい。
ま、俺には関係ねーけど。
「日和っ!!」
ドクンッ!!―――――――――――――――
聞き覚えのあるその名前に心臓が反応した。
――――――――――― ひ ・ ・ 日和 ・ ・ ・だと?
俺はゆっくりと歩道へ目を向ける
男に腕を掴まれて、下を向いている女。
茶色のゆるい巻髪 ・・白く ・・細い ・・腕
顔を上げた女の
その顔・・
―――――――――――――――――― っつ!!
俺の頭の中は真っ白になった
動けなかった。
信号が青になったらしく
後ろでクラクションを鳴らしながら俺のバイクをよけてく車
その音で、その女は俺の方を向いた
「!!っ」
女と目が ・・合う
その女も 俺も
動けずにいた
「誰だ?こいつ、知り合いか?」 女の腕を掴んでいる男が聞いてくる。
でも、俺も
・・女も ・・何も言わない
「おいっ!」 いきなり腕を掴んでいた男が怒鳴る。
その声にビクッと体を揺らした女は、俺から目を逸らし
「し、知ってる人に似てただけよ、この人はしらない」
なつかしい
・・声
女のその言葉を信用したのか、してないのか、男は俺を睨み
「いつまで、俺の女に見とれてんだよっ!ガキっ!失せろ!!」
と
この ・ ・ 俺に?
ガッツ!!
――― 気付くと
俺は、バイクから降りてその男を殴っていた
「ってぇ!このガキぃ!どこのもんじゃあ?」 男は倒れた体を起こしながら怒鳴る。
俺は無意識に
その女の手を引き、バイクの後ろに乗せていた。
「えっつ?」
女はたぶん ビックリしただろう
殴られた男も
「っえっ?お、おいっ!」 と駆け寄る。
が
俺は待ってない
すぐにバイクを走らせた。
後ろに
・・ 日和を乗せたまま
なつかしい腕が
俺の腰に回されてる
そのままバイクを走らせてると、日和が俺の服を引っ張った。 「?!」
少し広い場所を見つけてバイクを停めると、日和はすぐに後ろから降りて、俺に 背を向ける
「―――――― ひ ・ ・ より ・ ・」
俺の声に日和の体はビクッと振るえた。
俺は動きが止められなくて、日和を後ろから抱きしめてしまっていた。
「―――― か ・ ・ おる ・ ・っ」
日和の搾り出す声が聞こえる
日和・・に
また ・・名前を呼んでもらえるなんて
日和を・・もう一度
・・抱きしめられるなんて
「―――― っう ・ ・ っ」
抱きしめたまま、俺は泣いてた
会いたかったんだ。
本当に ・ ・ ・
声を聞きたかったんだ、
・・ずっと ・ ・ ・ ・ っ
「薫、ごめん ・・私、戻らなきゃ」
俺の気持ちを無視して日和はそう呟く
「――――――――― い、・・やだ!」
「!っ 、か ・ ・ おるっ!?」
「もうあんなガキのままじゃねぇんだよ!もう離さねぇっ!!」
俺は無理やり、日和の体を前に向かせ顔を近づける。
「!っ」
「日和っ」 俺は強引にキスをした。
・・ 深い深い
今までの想いの分ぐらいのキスを。
唇を離すと、日和は俺の顔を見て
「・・ホントに大人っぽくなったね ・ ・ 薫。」
そう言って涙ぐむ。
「―――――― 日和は全然変わらないね。」
「くすっ。私はもうおばさんになっちゃったよ。」 と笑った。
でもそんな事なくて
・・日和は昔のまま ・ ・ きれいなままだった