生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

阿吽の儀式

「あれ?ここは?」

身体に感じていたG(重力)がなくなったことに気がづいて、ハルルはキョロキョロと辺りを見渡した。

「僕らの屋敷の裏の森の祠だよ」

転移した先は、3歳のハルルが前世の記憶を取り戻すきっかけとなったあの御神木の目の前だった。

当時、幼児のハルルと同じくらいの背丈だった幼木も、15年経った今ではハルルも見上げるほどの大木になっている。

しかし、神木はあっても祠とおぼしき殿舎が見当たらない。

前世の認識とは違うのか?とハルルが不思議に思っていると、

「祠というのは本来、神を祀る小さな殿舎のことを言う。だが、この神木自体に神が宿っているからここには殿舎は必要ないんだ」

と、ミシェルが説明してくれた。

『あの木には近づくな』

と、父ロゼレムとミシェルからキツく言われていたため、ハルルはずっとその言いつけを守っていた。

この場所に来たのは、3歳のあの日以来となる。

大きくなった神木に、月日の流れの早さを感じて感慨深い。

「ハルル」

ミシェルの声に慌てて振り向くと、熱の籠もった瞳のミシェルの顔が目前に迫ってきており、ハルルは慌てて体を反らせた。

「ちょ、何?ミシェル・・・んっ」

ささやかな抵抗も虚しく、ミシェルからいつもよりキツめに抱き寄せられたハルルは、気づいたら彼に唇を奪われていた。

"えっ?そこは踏み越えてはいけないラインではなかったの?“

地球でも、国によっては家族同士で唇にキスをする文化圏もある。

しかし、スーパーシスコンミシェルは、これまで"唇の端まで"という、"兄妹のライン"を頑なに守ってきたのではなかったのか?

呆然と目を見開いたままのハルルを無視して、ミシェルの柔らかい唇が、彼女のそれを堪能し続ける。

それは段々と激しさを増し、前世で許されていたであろう兄妹間の"可愛い親愛のキス"を超え始めていた。

そう、いわゆるベロチュー、フレンチ・キスに突入してきたのである。

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