生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜

「ハルル・・・！良かった」

真っ先に駆け寄って来たのはもちろん父・・・いや、養父ロゼレムだ。

今まで掛け値なしに甘やかし可愛がってくれたロゼレム。

その愛を疑ったことは一度もなかった。

しかし、血が繋がっていないことを知ってしまった今、近すぎる距離には戸惑いが生じる。

「・・・ハルル？」

いつもなら抱きしめれば抱き返してくれるハルルなのに、腕をダラリと垂らしたまま複雑な表情をしてロゼレムに抱きしめられる様子に、ロゼレムは戸惑った表情を浮かべた。

「・・・一体ミシェルはどんな説明をしたのかな？我が娘、ハルルに」

我が娘、という言葉にハルルはガバっと顔を上げた。

“私はお父様の子供なの？“

そんなハルルの不安が伝わったのか

「そうだよ？間違いなくハルルは私の血の繋がった娘だ」

と、ロゼレムは笑った。

「でも、ミシェルとカノン、私は血の繋がった兄妹ではないと・・・」

「そうだね、でも全く血が繋がっていないわけではないんだ。ミシェルは、王都に住む国王の息子。そしてカノンはその妹だから」

一瞬、ハルルの思考が止まった。

それなのに、その思考停止に追い打ちをかけるように、ロゼレムは更なる衝撃の事実を打ち明ける。

「二人の母親であるマリリン。彼女は国王の第2王妃、そして私の妹なんだよ。君にとっては伯母にあたる。」

”王妃？まさかの禁断兄妹ネタ、来ました！・・・お父様とお母様、兄妹で同じ部屋で暮らしてたのって、それって倫理的にオッケーなの？オッケーなのか？”

衝撃の事実を知ったハルルは、呆然とロゼレムとマリリンを見つめガクブルする。

“しかも、お父様、サラリと告げたけれど、ミシェルとカノンはハルルの従兄妹で・・・それに国王の息子って、それ王子ってこと？カノンも王女？そ、それに、私も王弟の娘って、それはモノクル眼鏡ルグランも言ってたけど、それってなんだかんだ私も王族じゃない？！”

沸き起こる疑問に混乱し、ハルルはオロオロと周囲を見渡した。

抱きしめていたロゼレムの手が、優しくハルルの背中を撫でる。

まるで落ち着いてと宥めるかのように。

ただ一つ安心できる事実は、この優しい父親が本物の父親であったということ。

ハルルは包み込む腕の暖かさに、次第に落ち着きを取り戻していった。