生まれ変わったら愛されたい〜元引きこもりニートの理想の異世界転生〜
「伯父上、そろそろハルルを開放してください」

ベリッ。

本当に音がしそうなほど鮮やかに、ミシェルはロゼレムからハルルを引き剥がした。

それは、18年間のミシェルの溺愛行動の賜物であり、毎度、毎度のお約束になりつつある。

「む、ハルルと僕は本当の父娘だよ?その絆は偽の兄であるミシェルとは比べ物にならないと思うけど?」

「僕はハルルの番です。彼女の唯一ですから伯父上の比ではありません」

ハルルを奪い返したミシェルは、フンっとロゼレムを鼻で笑った。

ガルルッ・・・そんな見慣れたやり取りよりも、ハルルにはもっと気になることがあった。

「それで、わ、私の本当のお母様は・・・?」

ハルルが育ての親であるマリリンをチラッと見ると、彼女は悲しげな表情ながらもニッコリと微笑んでいた。

愛情いっぱい、実子と差別せず本当の子供のように愛し育ててくれた彼女には感謝いっぱいであるが、それ以上に大切な事実を隠されていたショックは大きい。

何せ、昨日まではスチュアート家の全員が自分の本当の家族だと信じて疑わなかったのだ。

前世で求め続けて得られず、今世でようやく得られた家族の愛情。

当たり前と思えていたものが目の前で脆くも崩れて行くのは何よりも耐え難かった。

「ハルルの実母は、国王の・・・第7王妃だ」

“第7!?“

ハルルは実母が王妃ということよりも、第7という数字の方に気を取られてしまった。

んっ?王妃?そうなるとハルルとミシェル・カノン兄妹はハルルの異母兄妹になるのでは・・・?

そうなると、ハルルの父は国王である叔父上となるわけで・・・???

ハルルの疑問が伝わったのか、それまで口をつぐんでいたマリリンが口を開いた。

「あなたの実母、ヤエルは私の親友、そしてロゼレム・・・兄上の恋人よ」

ついにハルルの頭の中は炎上した。

そりゃそうだ。

マリリン王妃の親友の恋人は兄、その親友であるヤエル様は、現在は夫である国王の側室、その娘を育てるのは親友と己の恋人である兄妹で。

その泥沼にはびこるのは、友情か、もしくは、ただの略奪愛か・・・近親愛か??

平和と程遠いワードが次々と頭の中を駆け巡る。

“なにそれ?昼メロ?ハーレクイン?“

18禁ゲームも真っ青、前世の両親の関係性をも凌ぐ、実父母&養父母の関係性に、ハルルは混乱を極めるのであった。


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