夜の早送り






慣れるわけが無い。男の子と触れ合う経験なんて私にはなくて、一緒に寝るのも抱き締められるのも、いつになっても心臓が爆発しそうなくらいドキドキするのに。


瀬尾は違うのかもしれない。誰ふり構わず、いつも私に触れるみたいに他の女の子にも触っているのかもしれない。


だけど、伝う瀬尾の温度は私にとって唯一の安眠素材だ。包み込まれると眠くなる。瀬尾だけはどこにも行かないって、私の全てが彼を信じて居るからこそくる安心感のせいだと思う。



私だけが瀬尾のこと意識してるみたいで嫌だ。


瀬尾も私と同じだったらいいのに、って、そんな期待をしてしまう私が恥ずかしい。瀬尾と過ごす時間が嫌いじゃないって思ってるのは私だけだったら悲しいなぁ、なんて。



私は瀬尾のこと、まだ何も知らないのに。





瀬尾のバカ。ムカつく。天然たらし。


眠りにつく直前、いつも私がそんなことを思っているなんて、きっと瀬尾は知らない。



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