私に恋を教えてください
仕事の終わりがけに、柚葉は意を決して、須藤に話しかけた。
「あの、課長……お話があります!」

緊張し過ぎて、強張った柚葉のその表情に須藤は席を立つ。
「会議室に行こう」

会議室まではさほど距離はないが、その間も須藤の頭の中にはよくない想像が渦巻いていた。

また、何かあったんだろうか?
会社を辞めるとかはないよな?
春野からは時折話を聞くこともあるが、その後仕事は順調のようだし楽しそうに仕事出来ているようだと報告も受けている。

けれど目の前の柚葉はやたらと顔が強ばっていて。
まさか常務となにか……。

会議室に入ると須藤はガラススクリーンをオンにした。
「座って」
「はい」

須藤の向かいに座った柚葉は、何かを言いたそうではあるが、言いづらそうだ。経験上、こういう時に、良い話が出た試しがない。
「あの……」
「はい」

須藤の緊張感がほぼ、マックスに達した頃、
「今週の土曜日、お時間お有りでしょうか?」
「じ……かん?」
よく見ると柚葉は俯いて、頬を赤くしていた。
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