私に恋を教えてください
「な、なんだ……時間……時間な」
気が抜けたように、安心した様子の須藤を見て柚葉の方が驚く。

「課長……? どうされたんですか?」
「いや……君が何か悩み事かとか、困りごとかとか、辞めたいとかいいだしたらどうしようかと……」

「え⁉︎ なんで辞めるんです?」
「今まで、女の子が話があると言うと、ロクなことがなかったからな」

柚葉がころころと笑い出す。
「そんなこと、課長に相談もしないで、決めたりしないです」
須藤は椅子の背もたれにもたれて、はあ……と大きく息をつく。
「全く……こちらの気も知らないで、君はそんな風にころころ可愛く笑っているし」

テーブルの向こうで柚葉は、きょとん、として須藤を見ていた。
「先に聞こうか。それは業務ではないね?」
「……違います……」
俯いて頬を染めるそんな様子では仕事ではないことは分かりきっていたけれど、須藤は念押しした。
「ん、分かった。では……」

立ち上がった須藤は、テーブルの向こうの柚葉の座っている席の隣に座ったのである。
「で?」
と柚葉に向かって首を傾げる。
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