私に恋を教えてください
柚葉を見送った後、高鳴る胸の鼓動を、須藤は必死で抑えていた。

っ……い、嫌がられなくて、良かったっ……!
柚葉が可愛すぎる。

どうして、あんなに無垢で可愛いのか。
話があるなんて言われて、また何かあったのかと心配していたら、デートのお誘いだったとは。
須藤はともすれば、緩んでしまいそうな口元を手で抑えて引き締める。

一緒になんて、どこでも行きたい。
映画でもコンサートでも。
柚葉の行きたいところならどこへでも。

顔を真っ赤にして誘ってくれるから近くに行きたくなってしまって、隣に座ったら、柚葉の頬とかさらりとした髪とか唇とか、いろいろ気になってしまう。

須藤が嬉しいと言うと彼女も嬉しそうな笑顔になって、そんな表情を自分にだけ見せてくれるのかと思うと、触れずにはいられなかった。

その瞬間、もう引き返せないと思ったのだ。
だから柚葉にもそう宣言した。

『もう、引き返さない』と。
それに対する答えが、『教えて下さるなら課長がいい』とは。

課長……ではなくて、名前で呼んで欲しい。
あの声が『駆琉さん……』と呼んでくれたら……。
ヤバい、完全に今仕事場に戻れない。
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