私に恋を教えてください
「お前ほど思い切りがあるのも羨ましい気がするが」
「やらず後悔より、やって後悔した方がマシだと思うからだ」

侑也らしい言葉だと思う。
けれど須藤だって、やらず後悔するようなことはしたくない。



そうして、……階下の客室では枕を抱いた柚葉がころんと寝返りを打っていた。
眠れないのだ。

課長はとても優しい。
『俺のものにしたい』って言いましたよね?

柚葉自身は須藤に触れられると、とても嬉しいのに。
課長のものになりたいのに。

今日、深いキスをした。
最初は戸惑ったけれど、舌が絡まるその感じというのは、なんだかとても須藤を近くに感じたから。

お互いが溶け合ってしまいそうな。
すべてを奪ってほしいような、そんな気持ちになったのだけれど。
力が抜けてしまいそうなほどの心地だった。

待たないと言ったのに。
自分をとても大事にしてくれているのは、よく分かっている。

「私は覚悟出来ているんですけど……」
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