私に恋を教えてください
『ITコンベンション』
『では、実際にお仕事される際は、ここに気をつけている、というような事はありますか?』

『僕自身は技術畑の人間なので、どうしても最新技術を使いたくなってしまうんですよ。すると、時に汎用性が失われてしまう、のはいけないな、と思っています。』

『確かにそうですね、最新にこだわることだけが良いとは限らないこともある。』

『けれど、ニーズは最新システムの導入であり……』

舞台の上では、侑也と他の会社のアドバイザーとの対談が行われていて、舞台の周りには人が集まって話を聞いている。

侑也は若いけれど、こういう場面でも怯むところが無いのが良いところだと副社長である東条瑛(とうじょうえい)は思っていた。

父親である社長は、先程知り合いの顔を見つけて早速挨拶に向かっている。
瑛は現場を任されているような形だった。

瑛の側には、社内の事を知り尽くしていて、実務では文句のない須藤が控えている。

侑也の話を聞いてブースに来てくれる企業もあり、それを担当者に振るのかそれとも副社長である瑛との名刺交換だけでいいのか、その全ての判断を須藤が行っていた。
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