私に恋を教えてください
須藤の仕事振りについては瑛も信頼している。

「実際のところ、開発と営業のせめぎ合いも難しいところがあるな」
「そうですね。新規企業の開拓だけすれば良い、というものでもないですし」

須藤が侑也の信頼する部下であり、もともとはシステム畑の人間であると知っているので、踏み込んだ話をしても大丈夫だと瑛も分かっているのだ。
歳が近いこともあり自然とくだけた感じになる。

「うちのシステムを早い時期に導入してくれた会社は、もうすぐ10年くらいになるからな。大幅なシステム改修が必要になる頃合だろう」

「リスク管理やセキュリティのことを考えると、やはりフォローは必要かと」
「一度導入すれば、それでいいってものではないからな」
「理想は適宜アップデート出来ることなんですけどね」

「AIを魔法のように、万能だと思っている経営者もいるしなあ」
「リテラシーを学んでほしいですね」
「厳しいな須藤課長」

「……という訳でもないんですが。必要か不必要かの判断は結局、経営者が負うことになるし難しいと思いますよ」

「東条社長、こんにちは」
そこで瑛に声をかけてきたのは、瑛と歳がほど近く瑛よりもややカジュアルな雰囲気の男性だった。
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