私に恋を教えてください
そう言ってにっこり笑った柚葉に彼は、
「え?」
と笑顔の固まったような表情を向けてくる。

「えーと、君は……」
「あ、本日からお世話になります、榊原柚葉と申します」

両手を前に持ってきて、きっちり向かい合い、柚葉はその男性に向かって、ぺこりと頭を下げた。
「榊原さん……?」

「はいっ!そうです!」
「そう、君が……俺は須藤です。元気だね」
「ありがとうございます!」

──褒めてるんじゃないんだが、天然かな……。

まあ、それでも元気がないよりいいかと思い直し、
「よろしくね」
と笑顔を向ける。

──この子が地雷……?

今年入ってくる新入社員の話は、須藤は課長として聞いていた。

噂では今年、1課に配属になる人物は、地雷であると。

すでに専務である、村上侑也の専属と決まっている。

だから、研修が終わったら早めに仕上げてね。

取締役部長の村上菜都に、直々に須藤は言われていた。
< 17 / 277 >

この作品をシェア

pagetop