私に恋を教えてください
数日前に呼び出しをされて、そのような話になり、どういうことだろうか?と思い、人事担当の同期を飲み屋に呼び出したのだ。

「それってさあ……地雷じゃねーの?」
「地雷……」

「踏んだらバクハツするやつ」
どかーん!と同期は手でバクハツを表現してみせる。

「まあ、村上専務の愛人とかじゃないの?」
「愛人て……あの人は独身だぞ」
「でもイメージ愛人。履歴書見たけどさあ、フツーの子なんだよなあ。フツーの新卒採用。なんで、専務とか村上部長が気にするのか分からない」

須藤はそんな言葉を思い出していた。
目の前の榊原を見ると確かに、普通だ。

真面目なリクルートスーツで出勤。
髪も1度も染めたことないようなサラリとした黒髪。
元気でにこにこしているが、あざとさや……正直色気はなく、愛人には見えない。

よく分からないが、深いことを考えるのは止めようと須藤は思った。
揉め事には触れないようにするに限る、と分かっているからだ。

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