私に恋を教えてください
一軒家風の建物で店に入るまで、小さな小径を通る造りだ。
その途中には可愛い木や花がたくさん植えてある。

柚葉は一目見て、その店の造りをとても気に入ってしまった。
「すごく素敵だわ」

「中で食事するところもこじんまりしていて、緑があって落ち着くよ」
カランとベルの音を立てて駆琉がドアを開けると、中に入ってすぐのところに冷蔵のショーケースがあった。

「ケーキだわ!」
「好きなのを選ぶといいよ。ここは焼き菓子も美味しいんだって。お客様からも好評だよ。会社でも贈り物で使ったりしているんだ」

「そうなんですね」
駆琉に案内されながら、柚葉はショーケースに貼り付いてケーキを眺めている。

そんな柚葉を駆琉はくすくす笑って、後ろから声をかけた。
「買って帰ろう」

「すごく悩んじゃいます……」
「好きなものを選んだら?」
「だって駆琉さん、どれも美味しそうなんです!」
真剣な顔でそう返す柚葉に駆琉は笑顔を向けた。

「じゃあ、今度の楽しみにしておいたら? うちからは近いから、また連れてきてあげるよ」
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