私に恋を教えてください
──確かにっ……け、結婚を前提にって言われましたけども!

「確かにそうですよねっ! 結婚をお約束しているなら婚約者で間違いないです!」
「てかそーゆーの、俺聞いてないんだけど?!」
「みんな、落ち着こや」

気づくとビルの受付で和装の柚葉と、いかにも外国人、しかも関西弁のそのお客様は盛大に目立っていた。

「あ、ごめん紹介する。うちと今度、業務提携する予定の会社のCEOクリス・オブライエン。クリス、僕の秘書で榊原柚葉ちゃん」
「榊原です」
「柚葉……名前まで可愛いなあ」

3人はエレベーターに乗る。
業務上の関係と言ってもこの3人の仲は、とてもフランクに見えた。

「初めてお会いになるんですか?」
『今度、業務提携する』という言葉に引っかかり、今までは?と思って、柚葉は聞いた。

「実際に顔合わすのは、初めてやな?」
そう言って首を傾げるクリスに、侑也は頷く。

「一応そうだな。けど結構、動画通話で打ち合わせはしていたから、あまり初めてという感じはないな」

こくこく頷きながら、クリスはこのビルのセキュリティにやたら感心していた。

「ホテルとかでは最近多いけどな、カードキーのあるフロアしか押されへんやつ。オフィスビルでも導入してるのは珍しいな」
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