私に恋を教えてください
画面の向こうの莉子はひらひらと手を振った。
そして通話が来た時と同じように、唐突に通話は切れた。

──あ……嵐のような人でした。
「忙しい人なんや」
クリスも苦笑している。

「なんか、分かんないけど、何か吸い取られる人だよね」
侑也も何かを吸いとられたような顔をしていた。
「なぁ、家族に紹介せえへん人なんてやめとき。僕なら即時に両親のところに連れてくわ」
「え……それはやです」
隙あらば、柚葉を口説きにかかるクリスだった。

食事の後、クリスをリムジンに乗せ名残惜しげな彼を送り出す。
まだ柚葉と一緒にいたいとかぐずぐず言っていたけれど、明日もあるのだからと侑也が強引に車に乗せてしまったのだ。

「いろいろありがとう。すごく喜んでいたな」
侑也が柚葉に向かって笑顔を向ける。柚葉も笑顔を返した。
「お役に立てたなら良かったです。せっかくいらしたんですから、いい思い出になると良いですね」

「仕事だけど、な」
「お仕事でも」
ふふっと柚葉は笑う。

そう言った柚葉の頭を、セットを崩さないように、駆琉はポンポンと撫でた。
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