私に恋を教えてください

「そんな訳ないでしょう。明日にでもお嫁さんにしたいよ。ただ柚葉を追い詰める気はないからって話だよ。でなきゃ結婚を前提になんて言わないよ」

ふうん……とそれを見ていたクリスが素早い仕草で柚葉を抱き寄せて、頬に軽くキスをした。

「クリス！」
「挨拶だけやん！　油断するといつでも奪うって態度で表しておきたかったからな」

莉子がクリスの頬をぎゅうっとつねった。
「痛った！　リコ！　暴力反対や！」
「私の妹になるのよっ！　許さないから」
駆琉はクリスから柚葉を奪い取って、抱き締めた。

くるりと駆琉に向き直った莉子は、指先を駆琉に向け、胸の辺りを綺麗な指でつつく。

「とにかく早く結婚しなさい。でなきゃ駆琉はいつまで経っても結婚なんてしないし、柚葉ちゃんは素敵な子だから、放っておいたら誰かに奪われちゃうかもしれないわよ。こういうのはね、縁なの。良い時がその時なのよ」

行動力の塊のような莉子に言われると、ものすごく説得力がある。
「はい。早めに、で検討します」

そうして莉子がクリスを連れて帰り、何だか嵐のような怒涛の数日が終わったのだった。