私に恋を教えてください
駆琉はいつものように柚葉の頭を撫で、ふ……と笑った。
そうしてスーツのポケットから、何かカードケースのようなものを柚葉に渡す。

「はい」
手の平にのせられたそれを、柚葉はじっと見た。

──何かしら……?
カードケースのプレゼント?

素直に受け取った柚葉に駆琉は笑いかけ、きゅっと頭を抱きしめた。
抱きしめられた頭の上から駆琉の声が響く。

「それはマンションの鍵だよ。これが入口用。こっちは部屋用。柚葉にあげる。好きな時に来て構わないから」
こっちがこっちが、ととても近い距離でケースを開けて、駆琉が説明してくれる。

「え⁉︎」
突然のことに、柚葉は戸惑うばかりだ。

こんな風に、マンションの鍵を渡してしまうなんて。
「いつでも、好きな時に来て構わない」

「駆琉さん……」
「ん?」

ん?と柚葉を見る駆琉の眼はとびきり優しくて、甘い。
「大事にします」
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