私に恋を教えてください
型式ばらない結納をして、正式に指輪を送った。

『ひと足早い桜です』
そう笑った振袖の柚葉はいたく綺麗で、今こうして側にいてくれるのがこの人で良かったと駆琉は強く心に思ったものだった。

社内では2年目になった柚葉が、相も変わらず頑張っている。

柚葉は会社にはすっかり慣れて、少しづつお客様とのやり取りが増えてきたのも楽しいと言っていた。

そんな頃合……
最近は、週のほとんどを駆琉のマンションで過ごす柚葉だ。

柚葉が持ってきた白い皿にスクランブルエッグを盛り付けて、駆琉はミルで塩胡椒した。
木のさじを皿に置こうとして駆琉はふと思いつき、ひょいっと出来立ての卵をすくって柚葉の口元に持っていく。

柚葉は嬉しそうにそれをぱくんと食べた。

「あー、すっごく美味しい。駆琉さんのはふわとろで美味しいです」

おいしー、と言ってもぐもぐしている柚葉がおいしそうなんだが。
駆琉は両手がお皿で塞がっている柚葉の頬に口付ける。

「え? 駆琉さんっ?」
「可愛いし、おいしそうだ。柚葉が」
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