私に恋を教えてください
この後に及んでまで自分が悪いのだから、と言おうとする柚葉に、須藤は胸を掴まれる。
私は悪くない、と言っても構わないのに。

もういいと頭を引き寄せようとして、須藤はその手を止める。

「課……長?」
「ああ……うん」
須藤は伸ばしかけた手をぎゅっと握った。

そして、パソコンに向かう。
「今日の業務は完了でいいかな。ログアウトしておこう」
「ありがとうございます。あの……遅くまですみませんでした」

「こちらこそ遅い時間まで、ありがとう。そうか、専任になっているから他の人にも聞きづらいな。……そうだな。榊原さんがいつでも聞ける先輩を明日、紹介する。」
その瞬間、柚葉はぱあっと花が開くように笑った。

「嬉しいです!ありがとうございます」
つい頭を撫でたくなるのだが、それを抑えて須藤は柚葉に笑いかけた。

「お疲れ様。帰ろうか?」
「はい!」

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