私に恋を教えてください
気付いたら、目元が熱くなって、だーっと涙が零れていた。

「え!?何で泣いてるの!?」
「……っす、すみませんでした。須藤課長にまでこんなお時間に確認していただいて……。私、ご迷惑かけてるのに褒めてもらって……す、すごく嬉しいです……」

瞬間、須藤は猛烈に反省した。
地雷なんて人に言われて、俺自身、彼女を見ていただろうか?

もしかしたら、無意識に距離を置いていたのかもしれず、知らずそれを彼女に悟られていたのかもしれなくて。

この子はこんなに頑張っていたのに、それを見ていなかった。
こんな自分の一言に、肩を震わせて涙をこぼすほどだった、なんて。

俯いて、こぼした涙を見せまいと必死に堪えている姿に、ひどく心を打たれる。

冷静に考えてみたら、新しい環境でどれほど心細かったか知れないのに。
ミスは彼女のせいではなく、管理不足の自分の責任でもある。

「ごめん!榊原さん。本当はもっと、君のことをきちんと見てあげるべきだった」
その場で勢いよく、須藤は頭を下げる。

「こんなに一生懸命にやってくれていたのに、ごめんね……」
「いえ。あの、本当にそれは私が……」
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