私に恋を教えてください
聞いていると、教えるのも下手ではない。

「え?じゃあ、例えば……これって?」
「ああ、いい所に気付いたね。そんな時はさ……」

別に、教えているだけだ。
ただ、教えているだけ……。

結局、柚葉が持ってきた椅子に柚葉を座らせながら、侑也自身はその後ろから覆いかぶさらんばかりの距離の近さでレクチャーしている。

時折悪いなと言わんばかりの視線を投げてくるのが腹立たしい。
しかもそれは柚葉には、侑也がいる位置が後ろだから見えていないのだ。

須藤の方からは作業しながらでも、そんなことを確認出来てしまう。

「常務、確認出来ましたよ!」
須藤はわざと大きめの声で、そう作業の終わりを告げる。
タイピングが若干雑になることは、見逃して欲しい。

「早いな」
舌打ちでもしそうな顔で、侑也は須藤の方にやってきた。

「で?」
「ログは本人のログだった。けど、端末が……」
とは言え、元は侑也が気付いたことだ。
画面を見せると、真面目な顔になった。
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