私に恋を教えてください
「あいつ、結構顔キレーじゃん?それにあの年齢で課長な訳だし、それなりに有望かなと思われているんだよね。で、この打ち上げの時ってせっかくだからってすごく女性が群がるから」

なかなか壮観だから笑うよ、なんて侑也は言っている。
柚葉はそれになんと言って返せばいいのか、分からなかった。


打ち上げと言っても、慰労や懇親の意味も含まれているので会社のほぼ全員が参加する会である。

使用されるのは、このホテルの一番大きな宴会場だ。
そこでの立食パーティで、最初さえ参加していれば、いつ帰ってもいいらしい。

華やかな大きな会場に、数百人が入っている様子はなかなかに壮観である。

立食パーティのため、役員でも気軽に社員と話が出来るような場になっているとのことだ。
「気軽に交流できるってメリットはあるけど、柚葉ちゃんは俺から離れちゃダメだよ」

迷子にでもなると思われているのだろうか?
しかし一旦離れたら、どこにいるか分からなくなりそうなくらいに人がいることは間違いない。

「はい」
こくっと頷いて、柚葉は素直に返事をした。
< 80 / 277 >

この作品をシェア

pagetop