私に恋を教えてください
実力も実権も、顔かたちすら、侑也にはその辺の社員では足元にも及ばない。
しかし侑也と言えば、その背景にものを言わせ、女性関係はかなり華やかなはずだ。

メロメロなんだろうか、この子に……。

しかし柚葉の品の良い身のこなしと気遣い、見ているこちらが和みそうな柔らかな笑顔は、否定しきれないものがある。

「ありがとう。じゃあそれは受け取るから、柚葉ちゃん自分の分も取りなよ」
侑也は柚葉から、離れるつもりはなかった。

──ほんの一瞬、……一瞬、目を離しただけでコレだぞ!

少しでも侑也から離れれば、柚葉に人が群がるのは間違いのないことだろう。

しかも柚葉はとんでもない箱入りで、親切にされたら、付いて行ってしまいそうなのだ。

最後にパックンと食べられるまで、
「おばあさんの手はどうしてそんなに大きいの?」
と尋ねて
「柚葉ちゃんの頭を撫でるためだよー」
と言われると
素直に「まあ、そうなの?」とお返事をしそうなのだ。

赤ずきんちゃんである。
想像すると可愛い。
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