私に恋を教えてください
けれど柚葉の回答は、そうではないことがはっきりしたのだ。
──好きです。お慕いしていますとその口から出たら諦めたけれど。

柚葉は、ん?と須藤の言葉を待っている。

「俺、榊原さんに俺のことを考えて欲しいと思っている」

「考える……ですか?」
「そう。そうだな、例えばそうやって榊原さんがじいっと俺のことを見るでしょう?こういう時、俺は君の顔や髪に触れたくなるし、もし許されるなら君を抱き寄せたいって思う」

「え……」
「ダメかな?」
緩く首をかしげる須藤を見て、柚葉は俯いて考えてみる。

──えっと……抱き寄せたい……?

「あの、私……」
「ん?」
「分かりません。そういうの、分からなくて」

「そうか……」
「なぜ、そんな風に思われるのでしょう?」

頭の上の方から、須藤の柔らかい声が降ってくるけれど、柚葉は段々顔が熱くなってきて、俯いたままの顔を上げることができない。

「ん?なぜ……?か…ごめん、気持ちを先にきちんと伝えるべきだな。俺は君がすごく欲しい。誰にも渡したくないんだ」
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