私に恋を教えてください
そんなことを聞きながら、須藤もその向かいの椅子に腰掛けた。

「柚葉ちゃんに、お前何か言ったか?」
「……仮に何か言ったとして、それがお前に関係あるか?」

「ある、と言ったら?」
侑也は椅子に凭れて、ふーっ、と深く息を吐く。須藤は口を割りそうにない頑固な顔をしていた。

付き合いの長い侑也だから分かることだ。

「こんなことで牽制し合ってもしょうがないな」
「それは確かに。時間の無駄だな」

二人共に効率の悪い事は、嫌いなタイプだ。

「駆琉が……いつもと違うのは、理由があるからなんだろうって、俺は思ってる」
「侑也もいつもと違うように見える」

「くっそ……こんな事まで、気が合わなくていいんだがな」
須藤は緩やかに、首を傾げた。

「いつもの自分と違うって自覚して、理由を考えた。原因があるからだと思って」
穏やかな須藤の声に、侑也は椅子に座り直す。

「可愛いな、と思ったんだ」
「柚葉ちゃんなんだな」
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