【完結】打算まみれの恋


【松戸緋奈様】

せっかく緋奈さんが僕に質問をしてくださったのに、この三週間まったくお返事が出来なくてごめんさい。理由は色々ありますが、まず何故僕がデザイナーになったのかをお話させてください。

僕は小さい頃から童話を読むのが好きで、中でもシンデレラが好きでした。男なら誰しも王子に憧れるものですが、どろどろだった灰かぶりの女の子を王子が見初めるほど美しくさせた魔法使いが特に好きで、魔法使いになりたさにデザインの道を小さい頃から意識しました。

でも、デザイナーとして働く上でその思いは少しずつ変わっていきました。なぜなら皆が皆舞踏会に行くために服を着るわけではないからです。なんでもない日に服を買って着る。王子なんかいらないと、ただ自分が好きだから服を着る、皆が皆変身を望んでいるわけではないことを僕は知りました。

それから僕は、変身させることができる服ではなく、着た人のほんの少しの幸せの一部になれたら、と言う思いで服をデザインしています。

そして話は変わりますが、僕の関わっているブランドで大学生くらいの女の子をターゲットにしたブランドがあります。コンセプトは自分の好きな自分です。緋奈さんの考え方と合致するんじゃないかなと思っています。そこで、お洋服をお贈りしたいと思っています。

突然お洋服を贈りたいと言って困らせてしまうかもしれません。でも僕は緋奈さんの話を聞いて、どうしても贈りたい服のデザインが頭の中に浮かび…これまでの人生の中で最高傑作のデザインだと思っています。なのでその第一号である服を緋奈さんに見てもらい、実際に着ていただいた姿を見たいです。

本当に突然こんなお願いをしてごめんなさい。よろしくおねがいします。

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