【完結】打算まみれの恋
「もしかして、緋奈さん……?」
待ち合わせの駅でじっと床を見つめていると、聞き覚えのある声がかかった。
顔を上げると、二十代半ばくらいの男の人が私の前に立っていた。すらりとした佇まいに髪を左右にさらりと流した人好きのする笑みに、とっさに身構える。
「あ、ぼく滝永……です」
「ああ、た、滝永さん……」
確かに目の前に立つ人から発せられる声は、ここに来る前電話で聞いた滝永さんの声だ。
服装も黒のコートを着流すように羽織っていて、頭の上からつま先まで洗練された装いだ。姉と同じ、美しい人種の人だ。確かに女性関係で苦労するのも瞬時に理解した。
「えっと、松戸です、よろしくお願いします……」