【完結】打算まみれの恋

 滝永さんの持ってきた動物のブルーレイを見て穏やかな時を過ごしていると、可愛らしいパステルカラーの絵本が目の前に差し出された。彼は「これ緋奈さんで隣にいるの俺ね」と、小さな男の子と女の子が並ぶ絵を示している。

 パッと見は、子供に対しても贈れそうなクオリティの高い絵本だ。でもこれを渡される前に滝永さんが言い放った「保健の授業」という不穏な単語に強い不安を覚える。

「俺が読んであげるね。せいじくんとひなちゃんの仲良し大作戦」

 ぱちぱちぱち〜と滝永さんは声に出しページをめくっていく。ひなさんでしたよ! ノートの再来に手が震えた。初手からエグい描写されたらどうしようかと思っていたけど、「せいじくんが腕を広げたら、抱きしめてほしい合図です。ひなさんは勇気を出して飛び込んでみよう!」など小学生でも読めそうな感じだ。

「そしてここからもう一歩大人の階段を上ります。せいじくんがひなさんを抱っこしてぎゅうぎゅうしたら、ちょっと長めのちゅーをしましょう」
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