【完結】打算まみれの恋
なんだか、雲行きが怪しくなってきた。案の定次のページで『せいじくんとひな』の服が消えた。妖しいナレーションとともに見守っていると、とうとう絵本の中の二人は接触を始める。絵がファンシーなためにより居た堪れない気持ちだ。
「なんでちゃんと見てくんないの?」
視線をさりげなく落としていると、滝永さんが不満げに私を見てきた。誰だってこんなもの見せたらこうなると思う。力作に対しては申し訳ないけど……。すると滝永さんは「まぁ、こうなるだろうとは思ったけどね」と自分の鞄をごそごそし始めた。
「え……?」
「緋奈さんが絵本だとちょっと想像しづらい……って時のために、ぬいぐるみも作ってきたんだよ」
そう言って滝永さんが取り出したのは、教育番組にも登場しそうなぬいぐるみだ。目は大きくて愛くるしく口がパカッと開いて笑っている。可愛いなぁと手を伸ばしかけて……止まった。
「ほらこれ見て、この再現度。緋奈さん人形と合体できるんだ」