【完結】打算まみれの恋
「え」
「約束。もし緋奈さんが約束破って俺と別れて誰かとヤッたら、その男どっかから突き落として殺して、俺は緋奈さん刺し殺して死ぬから」
じっとりと湿った目で見つめられた。その瞳はこの間のじとーっとした軽いものではなく、もっと重く、狂気を煮溶かした昏さを持っている。
「まぁ、私にとって滝永さんは例外なので、ほかの男性に……というのはあり得ないと思いますけど」
「ほんとにぃ……?」
「本当ですよ」
滝永さんは私の言葉に満足げに頷くと「じゃあ多分六回くらいだから!」と余計な一言を付けたし扉を閉じる。でもすぐに扉をぱっと開いて、顔だけをのぞかせた。
「あと緋奈さんが襲われたときはまた別だから、その時は相手の男ぶっ殺して焼くから、その判断は俺きっちりできるから安心して。そうさせないようにちゃんと守るけど、緋奈さんのこと誤解して一方的に責めるとかは絶対しないよ!」
そう言って滝永さんは扉を閉じた。ぺたぺたぺたと早い足音が響いた後、トイレの扉がばんっと閉める音がする。普段トイレの音なんて聞こえないのに、トイレットペーパーがものすごい音を立てて巻かれていく音が聞こえてきた。心なしか私の名前を呼ぶ声が聞こえる。