大人になってもまた君と


「はる、こっち向いて」

……いつもは俺様の命令口調のくせに、やたら優しくて、そのお願いに従ってしまう。

今日何度も重なったであろう視線。
だけど、一向にそれに慣れることはなくて、射抜かれるような強い眼差しから反射的に逃げたくなる。

それを彼は許してくれない。

「しばらく言ってやんねぇから、ちゃんと聞いとけよ」

「な、にを……」

突然、ふっと、彼の顔が耳元に近づいた瞬間、温かい柔らかな息がかかって、ただでさえ働かない頭が真っ白になった。

そんな中、直感でわかったのは、彼が言うことに全力で耳を傾けなければいけない、ということだけ。

そして私の全ての意識を、彼の吐息がかかる耳へと集中させたとき、彼から発せられたのはただ一言。


「愛してる」


その言葉を聞いた途端にぶわっと、全身が赤くなったんじゃないかと思うほどの熱を帯び、次に、嬉しさで胸がいっぱいになる。

こんな特上のセリフは付き合って以来、初めて言われたもの。

恥ずかしいけど、でもそれ以上に嬉しくて、幸せで、目の前にいる人の背中に両手を回した。


……俺様で、意地悪で、口が悪くて。
意外と優しくて、意外と真面目で、たまに可愛い私の彼氏。

隣にいると居心地が良くて、何気ない会話が楽しくて、自然体でいられる。

見返りが欲しくて一緒にいるんじゃなくて、幸せにしたいから隣にいる。

どんな君も愛おしくて、それはきっとこれから先も変わらない。

変わることのない、愛。


「私も……愛してるよ」


頑張って伝えた私の気持ちに、幸せそうな笑みを浮かべる彼を見て、これなら私はずっと負けでいい、なんて思ってしまった。

今度こそ我慢することをやめた彼は、独占欲の印をつけていく。

それを受け入れるどころか、もっとして、とすら思っている私は、変態なのかもしれない……。


卒業してからまだ2年。
ようやく成人して、人生の一区切り。
まだまだ私たち2人での道は長い。

軽口叩き合って、喧嘩して、笑い合って。
たまにはこうして素直に気持ちも伝え合って。

楽しい思い出も嫌な思い出も全部。
2人で築き上げていこうね。


──────大人になってもまた君と。


【END】
< 18 / 18 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

わんこ系男子と甘々な日常
羽夜/著

総文字数/17,457

恋愛(学園)38ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「先輩、久しぶり!!」 一年ぶりに再会した後輩くんは相変わらずの キラキラ具合で。 「今日もバイトだよね。一緒に行こーよ!」 「ねぇ、俺って凄い?褒めて褒めて!」 「あんた、誰。奈子先輩に触るの、やめてくれる?」 ……相変わらずの忠犬ぶりだった。 そんな彼が可愛くて、面白くて。 ただの良き後輩だと思っていたのに…… 「先輩、もっと俺を頼ってよ」 「俺は奈子先輩のものだから」 「このままずっと、先輩を独占できたらいいのに」 甘々な言葉で、私の心臓をうるさくさせる。 一途でド直球。 とある理由で一人暮らしをしている 高校一年生の男の子。 波柴 蒼空 (はしば そら) × 鈍感でツンデレ。 なかなか本心を伝えられない 高校二年生の女の子。 淵上 奈子 (ふちがみ なこ) 年下のわんこ系男子に翻弄される甘々な毎日。 順調に二人の距離は縮まっていくけれど…… なかなか素直になれなくて。 ─────素直になれるように頑張るから ……どうか、他の子のところにいかないで。 START▹▸2021.8.6 END ▹▸ ?
②Sparkl
羽夜/著

総文字数/13,930

恋愛(学園)30ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「……今度は全治何週間なの?」 「1ヶ月!」 「花秀(かしゅう)定期戦に間に合わない……」 新人アイドルの妹が怪我をして 「代理やるの、リーダー命令だから」 「それずるい」 マネージャーである私が 代理を務めることになりました 人気上昇中のグループ Spark(スパーク)のリーダー 昴(すばる) × Sparkのマネージャー 百合(ゆり) 「どっちも。青春をかけて頑張ったんだよな」 「困って悩んで、あいつのことを考えなくなるならそれもいいな」 「ちゃんと受け取れよ」 昴が私に渡すものって……? 第6回胸キュンSSコンテスト 設定② 応募作品です!
自信家幼なじみが隠すもの
羽夜/著

総文字数/17,164

恋愛(純愛)31ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 親公認の幼なじみカップルである私たち 『2人で“仲良く”お留守番をよろしくね』  ……なんて言われて始まった、お試し同居  人気者の彼の時間をなるべく奪いたくない  邪魔なんてしたくないのに 「今度から買い物は一緒に行く。約束」 「この映画、桃が観たいやつだろ? 観に行こーぜ」 「家政夫じゃなくて彼氏なんだが?」  自然と2人の時間は増えていく  私の『ただいま』に大和くんの『おかえり』が 返ってくるのが普通になって  ───幸せ過ぎて怖い  そんなとき、彼の部屋で "女の子の落とし物"を見つけて…… 自信家の俺様系男子 × 自信をなくした清楚系女子 幼なじみ同士の不器用な恋のお話

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop