今は秘書の時間ではありません
この1年私と一樹の交際はとても順調。

実は3ヶ月前から同棲を始めた。

この1年寝る間も惜しんで働いている一樹に私は家でも支えてあげたいって自然と思った。

会社であれだけの量をこなし、次から次へと舞い込む新規案件にも着手してしまう力量に頭が下がる。

でも…やっぱり一樹だって人間だもの。
ふとした時に見かける疲れた表情が心配になる。

それでも一樹は時間さえあれば私との時間も大切にしようとしてくれる。

いくら私が「家でゆっくりして」「少しでも眠って」と言っても「紗奈といる時間が1番の癒しだから一緒にいたい。」といって聞いてくれない。

何度も一樹から同棲を提案されたが休んで欲しくてのめなかった。

でも、同棲しないと一樹は無理し続けるんだ、と思い直した。

それだけじゃない。
私が一樹を心から尊敬し、彼に尽くしたいと思ったから。
彼の支えになりたいって思ったから。

秘書としてではなく彼女として。
< 107 / 108 >

この作品をシェア

pagetop