今は秘書の時間ではありません

始動

室長を呼び出した。

「おい、智己。そろそろ働くぞ。」

「やっとかよ…参ったよ。こっちが地なのかと思い始めてたぞ。」

「それもいいな。あのままアメリカで働くのもいいと思ってたしな。お姉さんのところで遊ぶのもなかなかだったよ。」

「だいぶお楽しみのようで…」 
といい智己はギロリと睨んでくる。

「けどまだうちを潰すわけにはあるかない。だいぶこの3ヶ月でみえてきたぞ。」

「潰さないことを祈ってるよ。」
智己は皮肉のような笑顔を向けてくる。
よほどアメリカでのことや社長就任してからのことを怒っているのだろう。 

「とりあえずリゾート開発のことだがあそこにホテルを建てて何がある?これからの発展の見込みなり、なにか目玉があるようには思えない。」

「そうなんだよ。なんの目的もなく自身の利益のためだけに専務が推し進めてるとしか思えない。」

「そうだよな。俺がリサーチしたところ、周りの住民からもなんでこんなところにホテルが建つのか、と疑問視されている。環境がいいし、近くに温泉があるにも関わらず何故高層のホテルなんだ?遊びに行くところもなさそうだぞ。どの年齢層の顧客を掴もうとしてるのかもわからない。」 

「そのとおり。近くにレジャー施設はない。作る予定もない。何しに行くところなのか不明だ。でもみんな甘い汁を吸いたいから専務に物申す人なんていないさ。」

「お互いの監視機能も働いてないのか。」

「そんなもんないさ。みんな美味しい汁が吸える方へ寄ってくだけなんだから。」

「じゃ、ハイエナどもを追い払うか!」

「だな。それでこそ一樹だ。」

智己と俺はガッチリ握手を交わした。
俺たちは幼稚園から一緒の幼馴染…無二の友だ。

まず俺はこの高層ホテルを建設するのを反対すべく水面下で動き出した。

表向きは遊び呆けてるバカ社長を演じ続けている。
次の会議でギャフンと言わせてやる。
待ってろよ!!!

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