今は秘書の時間ではありません
俺は友永さんに電話をかけた。
今日辞めると言われたが考え直して欲しいとお願いするために…。

トゥルルルル…トゥルルルル…

なかなか出ない。

怒ってるのか?
もう辞めるから俺からの電話には出ないってことか?

トゥルルルル…
俺は携帯を鳴らし続ける。

「ひぁい…」

なんだか変な声が聞こえてきた。

「紗奈ちゃん??」

「ふぁーい」

「俺だけど…。三浦です。」

「はぁ…」

「大丈夫?」

「うーん…」

なんだかおかしい。
話が進まない。
スマホを見るが間違いなく友永紗奈と表示されている。

「もしかして飲んでるの?」

「もうやってらんなくてさぁ…なんか私1人で空回りしてたってゆーかさぁ。秘書として必要とされてなかったってやつみたい。笑っちゃうでしょぉ〜。みなみぃ〜、仕事さがさなきゃぁ。」

「俺…みなみじゃないよ。」

「…」

俺の悪口をみなみさんとやらに言ってるつもりみたいで散々な言いようだ。

ぐぅ…

「紗奈ちゃん?友永さーん」

「…」

寝たな…
プププ…なんだか笑える。
よく聞いていると寝息と共にムニャムニャまだ言ってる。
なんだコレ。
可愛いじゃないか。

なかなか通話を切れずに俺は彼女の寝言を聞きいってしまった。

支離滅裂だがムニャムニャ言ってて面白い。
俺の愚痴も凄い。
ストレス溜まってんなぁ。

わざと紗奈ちゃんに迷惑をかけてる身としてはいたたまれないがこの可愛さに俺の本能がくすぐられる。
ちょっと意地悪したくなる子供のようだ。
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