今は秘書の時間ではありません
翌朝出勤すると案の定、ソファで横になる社長の姿があった。ジャケットを脱ぎ、首元を緩め丸まっている。

8時までは、と思いブランケットをかけ退室した。

トントン…
8時になり社長室へ向かう。
まだ寝ており起きる気配はない。

「社長、そろそろ起きませんと始業になります。」

声をかけると飛び起きてきた。
「悪い!」

「まだ大丈夫ですよ。昨日はご飯食べましたか?」

「いや…」

「朝ごはん持ってきましたので顔を洗ってきてください。」

社長は驚いた顔をしている。
髪はボサボサでワイシャツもシワだらけ。 
ランチミーティング前に着替えないとダメそうだわ。

社長の洗面を促し私は持ってきたおにぎりとスープジャーに入った豚汁を置いた。

社長は戻ると手を合わせ「いただきます」と小さな声で言っていた。

凄い勢いでおにぎりを頬張り始める。
私はお茶を淹れに給湯室へ行った。

戻るとすでに食べ終わっており、いくらか顔色も良くなったように思う。

お茶をお出しすると、
「ありがとう。染み渡ったよ。」

「それはよかったです。今は着替えに出られませんが後ほどランチミーティング前に着替えに自宅へ向かいましょう。」

「わかった。」

私は片付け、社長室を後にした。

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