どうにもこうにも~出会い編~
 「ああ、最近仕事が立て込んでてね」

 「今日は来てくれますか?」

 「行けたら、行きます」

 「来ないかもしれないってことですね…」

 「ああ、行きます。絶対行きます」

 「すみません、お仕事忙しいのに催促しちゃって。無理して来なくていいですから」

 「行きますよ。男に二言はありません。それより顔が赤いようですが、体調を悪くしていませんか?」

 「ああ?いえ、すぐ治りますから!気にしないでください!では私は先を急ぎますので!!」

 「石原さ…」

 思わずテンパってしまった。私は西島さんの顔も見られずに駆け出す。再び身体が熱を帯びる。

 あ、ちゃんと挨拶しないと。

 「西島さん!今夜、会えたら会いましょう!」

 私は右手を大きく掲げて手を振った。

 「はい、行きますよ、絶対」

 西島さんは目尻にしわをつくって柔和に微笑んだ。
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