どうにもこうにも～出会い編～

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　また、彼女を困らせてしまったと思った。彼女が「飲み直しましょうか？」と俺に聞いたとき、聞こえてはいたが、なぜだかその言葉を理解するのに少し時間がかかった。「え？」と聞き返すと、彼女は俯いてしまった。

「あ、いや、なんでもありません…」

　家に帰った後、また飲むのかと聞いただけなのかもしれないと思った。まさかこんな中年男を飲みに誘っているなどとは考えられない。しかし俺は少し彼女を試してみたかったのかもしれない。

「私の晩酌に付き合ってくれるんですか？」

　冗談を含んだつもりだった。彼女は何を言わずにますます俯いてしまう。俯いていたので表情はよく分からなかったが、頬が少し上気しているように見えた。

「冗談ですよ」

　平静を装いながら内心焦っていた。これはどういう意味だ？まさかそんなはずは…。少々居心地の悪い数分間を過ごした。