どうにもこうにも~出会い編~
彼は再び寝返りを打つと、私が手を出す間もなく床に落ちてしまった。

「いたたた」

 彼は頭をおさえてのそのそと起き上がった。

「大丈夫ですか西島さん!」

「ああ、石原さん。起きましたか。おはようございます」

 彼は照れ笑いをしながら寝癖がついた頭をかいた。寝起きのせいか、いつもの低い声が少し掠れ気味だ。やけに、色っぽい。

「あの、私昨日はどうしちゃったんでしょう」

「駅までなんとか歩いてこれたんですが、駅のホームのベンチに座らせて電車を待っていたらいつの間にか眠ってしまったようですね。声を掛けても、うーとかあーとかしか応えなくて。石原さんの家がわからなかったので私の家に連れてきてしまいました。まったく予想外の展開でした」

 彼は「ははは」と苦笑気味に笑って、キッチンの蛇口をひねりコップに水を注いだ。

「迷惑かけてすみません!すぐ帰りますから!」


「朝ごはんでも食べていきませんか」

「いえいいです!というか私、昨日の夜、西島さんに失礼なことしてなかったですか?」

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