どうにもこうにも~出会い編~
 私たちはこのホテルのツインルームにいた。清潔感に溢れた部屋にはラグジュアリーなアロマの香りが漂い、間接照明が艶めかしく部屋を照らし出している。

窓の外には、いくつもの高層ビルの明かりと幹線道路を走る車のライトがきらめくきれいな夜景が広がっていた。

 窓ガラス越しに西島さんはジャケットを脱ぎ、ネクタイをほどく姿が見えた。どんな仕草も色っぽく見えてしまう。脱いだそれらをクローゼットのハンガーにかけるあたりが彼らしい。

「お嬢様は何をご所望ですか?」

 彼が私の真後ろに立つのが窓ガラスに映っていた。私は彼に向き直り、彼の顔を見上げた。彼があまりに真っすぐに見つめ返すものだから、恥ずかしくなって額を彼の胸に押し当てた。

「私、西島さんと恋愛がしたいです」

 彼は深いため息を漏らした。

「あなたには参りますね。やっとのことで押し留めていた気持ちだったのに、抗えそうもありません」

 そう言いながら彼は私を抱き寄せた。

「あのときも、こうしてあなたを抱きしめたかった」

 彼の私を抱く腕に力がこもる。

「私は石原さんが好きですよ」

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